できれば家でも甘えさせてあげて

お話を聞いているうちに、家と園とで子どもへの関わり方に違いがあることは子どもにとってどうなのか、ということが気になり始め、Oさんに聞いてみました。

「もちろん集団生活と家庭で子どもの様子も違いますので統一するのは難しいですが、出来る限り保育と家庭での関わりで差を作らない方がいいと思います。

それは、将来人によって態度を変える人間になりかねないからです」

なるほど、人によって対応がちがうと、子どもが混乱してしまうかもしれませんよね。

でも、自分にはいついかなるときも子どもの甘えを受け入れられる器はない、と思ってしまうママもいるのではないでしょうか。

すると、Oさんから返ってきた言葉は、こちらでした。

「保育士と違って保護者は子どもをみる以外にもしなくてはいけないことがありますから、いつも子どもを受け入れるのは難しいですよね。

そういった場合、なにが一番その子にとって必要なのか、保育士と保護者とが話し合うことで子どもが変わることもあります」

なんと心強い!こんなこと、相談すべきじゃないかしらなどと思わずに、保育士さんにはなんでも相談してみてもよいのかもしれませんね。

筆者自身、「保育園がなかったらどうなっていたか」と思うことは一度や二度ではありません。上の子がお世話になった保育士さんとは、いまだにつきあいがあるほどです。

ママを支える強い味方の保育園、そして保育園を支える現場の保育士さんたちは、人手不足や低待遇という悪環境のなか、子どもたちのためにがんばってくれています。

そんな日本の保育士さんたちが子どもたちにしてくれていることが、海外と比べても価値があると知ることができたのは、ひとつの希望だと感じます。

スウェーデンのよしざわさんとは、「日本の保育の質と、スウェーデンの制度が一緒になったら、最強の環境ですね」というところで意見が一致しました。

確かにスウェーデンの制度は素晴らしいですが、今の制度が整うまでは、過去に大勢の親たち、特に女性たちからの働きかけがあったことでしょう。

残念ながら今の日本は、問題点が見えてもすぐに行動を起こす社会ではありません。
ですが、今あるものの価値を見直し、次世代まで持続させることは、それはそれで重要なことなのではないかと思いました。

<参照>文部科学省「子育て環境の整備~子育てに対する不安の解消に向けて」

【取材協力】よしざわたかこさん
スウェーデンの保育園で1〜2歳児クラスで働いています。
東京でOL10年→退職→再度大学で児童学を学ぶ→2016年に家族で移住→スウェーデン語ゼロから2019年にスウェーデンの保育士資格取得&就職。2020年から正社員に。