子育て中の親なら、一度は子どもをどこまで甘えさせていいのか、悩んだことがあるのではないでしょうか。
育児書には、「甘えを受け入れることが子どもの自立につながる」と書いてあるものも多くあります。
ですが、頭ではわかっていても親の方に余裕がないと、子どもの甘えを受け入れることは難しいですよね。特に働いているママだと、時間的にも心理的にも余裕がない人は多いですよね。
そこで、ママの強い味方になってくれるのが保育園です。保育士さんにかかれば、子どもの甘えもお手のもの。対処法もいろいろご存知です。
そこで今回は、日本の保育園の保育の質について、スウェーデンで保育士をしながら、現地の保育・教育に関する情報を発信しているよしざわたかこさんと、日本の保育士さん3名の方にお話をうかがいました。
海外からの観点をまじえることで、今まで見えにくかった日本の保育の良さが見えてきましたよ。
甘えさせても大丈夫?
時に子どもは、親を試すようなわがままを言ったり、忙しいときにかぎってまとわりついてきたりするもの。
そんなとき、「なんでも言うことを聞くと自立できない子になる? 」などと考え始めるときりがありませんよね。
ここで、「甘えさせても大丈夫」派の育児書を2つご紹介しましょう。
1998年に発行された、児童精神科医・佐々木正美さん(故人)の『子どもへのまなざし』は、いまだに支持する人の多いロングセラー育児書です。
佐々木さんは著書のなかで次のように書いています。
人間というのは、どこかで全面的に受容してもらう時期があればあるほど、安心して自立していくのです。出典(『子どもへのまなざし』佐々木正美著)
これは大人にも当てはまることですよね。
また、累計で200万部のロングセラー明橋大二さんの『子育てハッピーアドバイス』にも、甘えに関する以下のような記述があります。
「愛情」と「甘え」は、車の両輪のようなもの。
出典(『子育てハッピーアドバイス』明橋大二著)
甘えは人への信頼と思いやりを育みます。
出典(『子育てハッピーアドバイス』明橋大二著)
こういった考え方を知ると、少しホッとできるママも多いでしょう。
甘えさせる余裕のない日本の子育て
しかし、実際にはお二人の先生の著書に対して「書いてあることは理想論で、現実にそんなに子どもを甘えさせることはできない」という批判もあるようです。
また、本に書いてあるように子育てができない自分を責めてしまうママもいるかもしれません。
それは今の日本社会が子どもや子育てしている層に寛容でないことと、無関係ではないでしょう。
実際に、「子どもを連れて公共機関を利用するときは、いつも迷惑をかけないように緊張している」というママもいます。
子どもの気持ちよりも人目を気にしてばかりの子育ては、ママを追い詰めます。ましてや働いていたら、勤務先にも気をつかうでしょうし、子どもの要求に毎回こたえるのはよほど余裕がないと難しそうです。