一食ウン万円!? 高級店のテイクアウトは売れてるの?
大木 牧元さんはひとり3万とか5万以上の高級店がコロナ禍で大変なことになるんじゃないか、みたいなことをおっしゃってましたけど。でもやっぱり、生き残る感じもしませんか?
小石原 え? どのあたりですか?
大木 人気店の予約システムOMAKASEがテイクアウトも予約できるようになって、すごい値段じゃないですか。
浅妻 すごいですよね。
小石原 たしかに石かわグループの『波濤』のお刺身盛り合わせが2万円というのが豪華なビジュアルでびっくりしました。
大木 どの店も1万円以上が当たり前な感じですよね。
小石原 (ウェブサイトを見ながら)ステーキの『ウエスタ』と、『紀茂登』のコラボレーション花山椒鍋、4万円超え!
松浦 おー。
牧元 ホントひどいね、それね。
小石原 え、なんてこと言うんですか! 確かに相当のお値段ですけど。
大木 売れてるんですかね?
牧元 売れてるんでしょう。今の理論で言うと。
小石原 (さらにウェブサイトを読み進めて)『やまの辺』もすごい! 特別料理組み合わせ、5万5000円。
一同 (笑)。
小石原 フカヒレ、車エビ、点心、お肉など12品2〜3名分。
牧元 我々のような特殊な人ではなく、例えばうちの奥さんとか、一般の方がみんな言ってるんですけど、1万円以上払うんだったらテイクアウトしないよね、って。それだったら、実店舗に行くよね、って。
大木 まあ、普通はそうですよね。
牧元 そういう考えじゃないですか、一般の方は。
浅妻 そうだと思いますよ。
大木 でも、今までの顧客が買うんでしょうね。
小石原 今はお店に行けないから、って。
牧元 あとは、SNSで自慢したい人とかが買うんでしょうね。
大木 とはいえインバウンドのお客さんは確実に来なくなっているわけでしょう? その部分は相当打撃ですよね。
牧元 それは打撃です。銀座の鮨店とかは大変だと思いますよ。それを考えたら、『辻留』の4点セットで、お造りと椀物と炊き合わせとごはんで4500円っていうのは、むちゃくちゃ安いですよ。
大木 あれはすごいですよね。3点セット3000円もありました。
牧元 画期的ですよ。おつゆもついてくるんですから、きちんと。だから、たった4点だけども家で辻留の味を再現できて。今は1万円くらいまで種類を増やしていて。6点セットとか7点セットもやられているみたいです。
でも、あの4点セットは完璧だと思います。普段は皆さんなかなか辻留には、行かれないじゃないですか。でもそれが、4500円でお値打ちで。お刺身なんかもお店で食べるよりも量が多いですからね、はるかに。
小石原 だから、こういう機会にそういうものでお店のエッセンスに触れて、お店が再開した時に行ってみたいな、って思わせられたらすごいことですよね。
牧元 そうですね。
小石原 辻留にいつか行ってみたいわって、より具体的に憧れる気持ちを持てる。テイクアウトが大ブレイクといえば、『十番右京』はすごいですね。全力でテイクアウトに振り切っていて。びっくりします。
松浦 今、1日何食ぐらい出てるんでしたっけ?
小石原 どうなんでしょうね〜。取材に伺ったときにはUber Eatsの配達員や予約したお客さんが入れ代わり立ち代わり状態でした。
一同 へえ~。
大木 あの唖然とするような切り替えのスピード感はさすがでしたね。
小石原 『鳥しき』のお弁当もがすごい勢いで売れているとか。
牧元 売れているでしょう。あの弁当は。
松浦 まだ召し上がったことがなくて「この機会にあの焼鳥弁当を」っていうお客さんはいらっしゃるでしょうね。
牧元 ブランド力は強いよね。
一同 うん。
牧元 『鳥茂』の弁当が500円っていうのは、えらいと思いませんか。生産者の方を助けたいという思いから、あの価格にしたそうです。
小石原 ああ、そうですよね。
牧元 今は焼きとんも売り出してますよ。
小石原 串だけのセットですね。飲ん兵衛向きの(笑)。
牧元 串だけ。おしんこも付くけど。あれは毎日ね、ぬか床を回してるから、ご主人が。
大木 焼き鳥丼というアイテムはテイクアウトにぴったりですよね。
小石原 冷めても美味しいですもんね。
大木 うんうん。
松浦 焼鳥屋さんは素材が鶏だけにメニューの展開力が高いですよね。唐揚げに蒸し鶏、カレーなど、いろいろ工夫されてるお店もありますよね。池尻の『焼鳥やおや』はおつまみセットとして唐揚げ込みの盛り合わせをやっていらしたりとか。
森脇 『炭火焼肉なかはら』さんの500円弁当も偉いと思いますよ。
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