空前のパンブームだ。1日3食パンを食べている人も少なくない。けれど、その原材料である小麦がどのように作られているのか、ご存知だろうか。

袋に入った小麦粉しか見たことがない人が大半ではないだろうか。

パンに欠かせない小麦を栽培するワークショップ「種から種へ」(以下、「種種」)が開かれている。

「種種」で行われている取り組み、そして「種種」に参加するいま注目のパン職人たちのインタビューを通じて、“パンの現在と未来”を考えてみよう。

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「小麦畑を見たことで、考え方が変わりました」

から「ブラフベーカリー」(横浜市)の栄徳剛シェフ、「365日」(渋谷区)の杉窪章匡シェフ、「カタネベーカリー」(渋谷区)の片根大輔シェフ

「ブラフベーカリー」(横浜市)のオーナーシェフ、栄徳剛さんは、ときに来れない回もあるが、参加するときは5人の子どもと一緒に畑に登場する。もちろん、ブラフベーカリーのパンや焼菓子などを持参でかけつけてくれる。

なかなか横浜までパンを買いに行けない人も、「種種」に参加すれば、栄徳さんのパンが食べられる可能性が高い。

栄徳剛さん/1976年、横浜のパン屋の長男として産まれた。横浜・本牧にあった「ラミ・デュ・パン」に勤務。その後、「ホリデイ・イン・横浜」、「グランカフェ新橋ミクニ」、三宿「ブーランジェリー ラ・テール」、「アルティザン・テラ」でシェフを務め、2010年に「ブラフベーカリー」を設立。2017年に「アンダーブラフコーヒー」と「ブラフベーカリー日本大通り店」をオープン。

これまでレポートしてきたように「365日」の杉窪シェフと「カタネベーカリー」の片根シェフは、自身で小麦を栽培している。

栄徳シェフも小麦を作らないのかどうか尋ねた。

「僕も北海道や石川県、熊本県の小麦農家さんで農作業を手伝ったことがあります。北海道ではトラクターに乗らせてもらい、収穫体験をさせてもらいました。

でも、『ブラフベーカリー』として小麦を栽培する予定はありません。費用もかかるし、スタッフにも頼まなければならないし。小麦作りは大変です」

小麦栽培を手伝ったのは、その経験がないと農家と話ができないからだ。農家の言葉を理解したいと思い、自主的に畑へ出かけていたというのだ。

「小麦畑を見たことで考え方が変わりました。小麦は農産物だという意識を持つようになりました。また、農作物であるがゆえに、いろいろなリスクがあることも見えてきます」

スーパーで売られている小麦粉の袋を見ていると、小麦は工業製品だと思いがち。品質がブレたら怒るし、味が変わると怒りたくなる。

けれど、農産物なら毎年味が変わって当たり前。

「そういうことが畑へ足を運び、農家さんと話をしているうちに理解できるようになってきました。

農家さんがわかるということは、農家さんもパン職人が見えてくるということ。農家さんが自分の店に来たとき、恥ずかしいパンを作りたくないと思うようになりました」