松尾健司さん

FMラジオ局のJ-WAVEは4月1日から「#音楽を止めるな」プロジェクトをスタートさせた。コロナウイルスの感染拡大によって大きな打撃を受けた音楽を、アーティストを、ライブハウスを応援するプロジェクトだ。

緊急事態宣言発令下で迎えたGWの5月6日には『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL #音楽を止めるな ~STAY HOME FESTIVAL〜』という15時間の特別番組も放送された。

このプロジェクトに深く関わった株式会社J-WAVEのエグゼクティヴプロデューサーの松尾健司さんへの全3回のインタビュー。前編ではコロナ禍でJ-WAVEが受けた影響、そして「#音楽を止めるな」プロジェクトの背景にあった思いについて話を聞いた。

リスナーや音楽ファンとの接点を失った喪失感が大きかった

── コロナウイルスの感染拡大が起こって、J-WAVEとしては最初にどんな影響がありましたか?

松尾 まず一番大きかったのは、イベントが開催できなくなったということです。J-WAVEでもかなり自主イベントをやっていて、その中でも代表的なものとして3月7日、8日に両国国技館で予定されていた「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2020 SPECIAL」というギター弾き語りのイベントがあったんですが、これがまず中止になってしまった。

それ以外にも、いろんな番組のイベント、あるいはJ-WAVEが応援や後援、あるいは名義主催しているイベントが続々中止になっていった。これが最初に起こった大きなことでした。

── 2月下旬に大規模イベントの中止要請が出て、ライブエンタテインメント業界は最初に自粛を強いられたわけですよね。J-WAVEはラジオ局であるけれども、まずはそちらの中止による影響が大きかった。

松尾 そうですね。ビジネス的にも大きいし、リスナーや音楽ファンとの接点を大きく失ったという喪失感も大きかったです。

── それを受けてまずどんなことを考えましたか?

松尾 イベントを行うのは当分難しいだろうとは思いました。ただ、それをオンエア上でやることはできる。そこで3月20日に『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL TOKYO GUITAR JAMBOREE 2020 ~ROPPONGI BASHO』という9時間の特番をやりました。

アーティストにスタジオに来てもらったり、会議室で演奏してもらったり、J-WAVE内のいろんな場所にステージを作って、ラジオ上のフェスという形を実現していこうと考えた。

僕たちには電波という強みがあるので、そこにライブを乗っけていこうということをやり始めた。それがまず第一歩です。