しかし本作は漫画連載開始から50周年、映画40作目。いつもよりも特別な作品になりそうだ。
「50周年という記念すべき時に私なんかが居させていただいて本当に大丈夫なんだろうかと……藤子F先生に聞きたいです(笑)」(水田)
「1作目が『のび太の恐竜』で、『のび太の恐竜2006』があり、今回が『のび太の新恐竜』ですから……原点に帰ってると感じますよね。
『ドラえもん』という作品は無限大
2006の時に藤子先生のお嬢さんから“(『のび太の恐竜』で)のび太がピー助にお刺身をあげるシーンは、お父さんと私たちとのやりとりが基になっている”と聞かせていただいた時に、『先生のお嬢さん達に対する愛情が込められてる作品なんだと気づいてすごく心にしみました。なんて優しいお父さんなんだろうって。今回の映画はそんな原点に戻った感じがしています」(大原)
50年前に『ドラえもん』のすべてを生み出し、長編作品の礎、その広がりを描き出した藤子・F・不二雄はすでにこの世にはいない。ふたりはいつも“原作者の声を聞くことができない”ことに向き合ってきたようだ。
「藤子F先生の言葉を直接聞けないからこそ、とてつもないものを背負っている感覚はありますし、その責任は本当に大きいと思っています。だからこそ軽々しいことは絶対にできないですし、藤子F先生が私たちを見てどう思うか……これは永遠の課題ですね」(水田)
「“先生、私の表現するのび太君はこれで合ってますか?大丈夫ですか?何かヒントをください”って空に話しかけちゃう時があります。迷った時は心の中で対話してますね」(大原)
本作も作品の随所に生前、藤子・F・不二雄が描いた面白さや考え、展開の妙が盛り込まれている。本作はオリジナル作品だが、その根底には『のび太の恐竜』に対する多大なリスペクトが感じられる展開で、50年続いてきたシリーズの豊かさを凝縮した作品になった。
「藤子F先生が終わりを描いていないって時点で『ドラえもん』という作品は無限大だと思います。日常ではなければ悪者をやっつければ終わるんですけど、この作品は必ず最後は日常に戻るので、この構造がある限り、これからもまだまだ新しい発見があると思います。だから、これからもやったことないことってまだまだ出てくるんでしょうね」(水田)
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』8月7日(金)公開