『迷子の時間 -語る室2020- 』

ストレートプレイ初体験の亀梨和也が挑む課題

『迷子の時間』は、ある日の夕方、山道でひとりの園児と幼稚園バスの運転手が姿を消すところからはじまる物語。

それから5年。園児の母、その弟の警察官、バス運転手の兄……、いなくなったままの二人を思いながら日々を生きていた3人は、久しぶりに集まって語り合っていると、霊媒師や未来人など、不思議な人々に出会う。彼らの存在が失踪事件の謎を紐解いていく。

今回、警察官の役を演じるのは亀梨和也。蜷川幸雄演出の音楽劇『靑い種子は太陽の中にある』(15)以来5年ぶりの舞台作品への出演となる。

「誰にこの警察官をやってもらおうか、プロデューサーと相談しているなかで亀梨さんの名前が挙がって、実際にご本人に脚本を読んでもらったところ、気に入ってくれたのでお願いすることになりました。

亀梨くんって映画なんかではミステリアスで影のある役どころが多い気がしますが、この警察官はちょっととぼけたところもあって、一見、亀梨くんのイメージとはつながらない。だから、最初は彼にあわせて脚本を直すこともちょっと考えました。

でも、僕の少ない亀梨くんのイメージに当てはめて直すよりも、このかけ離れたように見える役をそのままやってもらうほうが面白い気がして。いまは稽古の真っ最中ですけど、いい感じになっているなと思います」

意外にもストレートプレイへの挑戦は今回が初めてとなる亀梨には、たくさんの課題が与えられているという。

「毎日稽古をはじめる前に、みんなでウォームアップとしてゲームをやったりするんです。そういうときの亀梨くんの表情が本当にいいから、それをうまいこと役に混ぜていけたらと彼にも話しています。

でも、自分の素というある種の真実を役というウソに混ぜていくのって、言うのは簡単だけどやるのは難しいんですよね。

それと、亀梨くんの役は『語り』の外側にいる人間だから、冷静でいなきゃいけない部分と、感情をぐっと入れなくてはいけない部分のギャップがいちばん大きい役。そういういくつもの難しいトライをしてもらっています」