メンバーが華麗なソロプレイを披露する場面も

中盤からは、冒頭にあったこたつのシーンを交え、ゆるゆると、楽しそうに語らう4人の話から曲につなげていくような構成。

視聴者もテレビ番組を見る感覚だ。今年はどこにもツアーや旅行に行けなくて、手にしているみかんが地球に見えてきた、なんていう話から続いた「無垢な季節」では、チャイナ服やアロハシャツ、南米風ハットやロシア帽姿などメンバーがさまざまな国の衣装に身を包み、世界の観光名所の映像やパネルを用いて旅気分を盛り上げる。

疾走感のあるサウンドとキッチュな映像でポップなトリップだ。続くもこたつのシーンで、メンバーのInstagramの話やお腹が空いたからUber Eatsを頼もうなどやりたい放題。

そして「私以外私じゃないの」では、メンバーのこの1年のInstagramの写真がスクリーンに映し出された。

「パラレルスペック」では、「みなさんお元気ですか。画面の前ですけど、僕らはいつもみたいにライブをしているつもりでいるんですけど、どう映っているんでしょうか」と川谷はMCする。

配信は反応が見えないから怖いと言い、「今年初のライブがこんな形になるとは思っていなかったですけど、でも今年はアリーナ公演も中止になってしまったので、こうしてアリーナでできるのはありがたいです。でもそろそろ、ソロとか聴きたいじゃないですか? でもソロと言っても普通のソロじゃないですよ」と前振り。

「今年、ベースを弾かずに料理本出していたやつのベースソロ、聴きたいか!」、「会ってない間に、家の中が植物だらけになっていた、植物の精霊のキーボードソロ、聴きたいか!」、「来年Netflixで水原希子とダブル主演するやつのドラムソロ、聴きたいか!」と煽って、各自華麗なソロのプレイで魅せて、「パレレルスペック」をさらにプログレッシブに彩る。

普段のライブももちろんだが、バンドのどの角度から見ても、どのプレイヤーから見ても、音楽的な醍醐味にもエンターテインメント性にも富んでいるのがゲスの極み乙女。だ。その個々のプレイと、アンサンブルの凄みに触れる場面だろう。

Photo:小境勝巳
Photo:小境勝巳