Photo:小境勝巳
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12月6日、ゲスの極み乙女。初の無観客配信ライブ「uP!!!NEXT SPECIAL EDITION 2020 ゲス乙女大集会−大忘年会アリーナ編−」が開催された。

そのライブは、川谷絵音(Vo/Gt)、休日課長(Ba)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)が昭和の雰囲気漂う和室で和やかにこたつを囲み、みかん片手に2020年を振り返るというシーンでスタート。

今年やり残したことを話すなかで、コロナ禍でメンバーとも会えなかったこと、アルバム『ストリーミング、CD、レコード』をリリースしたが、アルバムのツアーはできなかったこと、ライブだけはどうしてもやりたかったことが語られ、部屋のブラウン管テレビが今回のライブタイトルを映し出す──

そして画面は、ライブ会場へと切り替わった。初の配信ライブは、ゲスの極み乙女。らしい趣向を凝らしたものになりそうだ。

「人生の針」など新作を中心にスタート

休日課長のスラップベースとリリカルなピアノが絡み合う最新アルバム『ストリーミング、CD、レコード』からの「人生の針」で幕を開けたライブ。

コーラス&キーボードのえつことささみおというお馴染みのメンバーを加えた編成を取り囲むようなワイドなスクリーンには、映像が映し出され曲を幻想的に彩っていく。

メンバーそれぞれにカメラが近づき、その卓越したプレイに肉薄できる感じ、いつもとはちがった角度でもライブが見られるのはこうして映像にこだわった配信ライブならではだろう。

続く「キラーボールをもう一度」では、サックス、トロンボーン、トランペットのホーンセクションを交えたファンキーなサウンドで、一気に華やかできらびやかな空間に。

「ロマンスがありあまる」では一転してモノクロの映像になって、そのアンサンブルのドラマ性をエレガントに引き立てた。また今回はAR(拡張現実)を用いた演出もあり「はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした」では、歌詞のフレーズが街のさまざまなネオンサインとなり、そのネオンと言葉が溢れる街をさまようような感覚。

グルーヴィなサウンドに乗せほな・いこかと川谷絵音のツイン・ボーカルが、アンニュイでシュールな世界を紡ぎ出していく「秘めない私」、星が降り注ぐ「星降る夜に花束を」、そして「ハツミ」では心地よく詩的な雨だれのようなアンサンブルとラップに、画面にも雨雫が滲む叙情的な時を生み出していく。

最新作を中心とした前半から、見所が満載。残念ながらアルバムを携えたツアーはできなかったが、作品の色鮮やかでふくよかなグルーヴや歌心を味わえる内容だ。

Photo:小境勝巳
Photo:小境勝巳