ユーチューブで埼スタへ潜入した那須大亮
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  • 声でチームを鼓舞することができる槙野智章
  • 10月24日・埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ 第24節・浦和レッズ×セレッソ大阪 (c)J.LEAGUE
  • オンラインでインタビューに答える那須大亮
  • ユーチューブで埼スタへ潜入した那須大亮

『明治安田生命Jリーグ』もいよいよ終盤戦に突入。コロナ禍で迎える特別なシーズンにスタジアムから足が遠のいているファン・サポーターも多いことだろう。

果たして、スタジアムは安心・安全なのか? そんな率直な疑問を試合開催日の埼玉スタジアム2002へ潜入した那須大亮にぶつけてみた。

横浜F・マリノス、東京ヴェルディ、ジュビロ磐田、柏レイソル、浦和レッズ、ヴィッセル神戸を渡り歩いたDFの目には、10月24日『明治安田生命J1リーグ』第24節・浦和レッズ×セレッソ大阪での新型コロナウイルス感染症対策はどう映ったのだろうか。

那須は「コロナ禍の中、安心安全に観戦してもらいたいというチームとしての配慮を隅々まで感じました。屋外ですし、ソーシャルディスタンスをしっかりしている。サーモグラフィで体温を測り、手指消毒をしてから入場するなど、感染症対策もしているので、みなさんが思っている以上に徹底してやっている。

一度スタジアムへ行けば、入場でも観戦でも安心感が肌で伝わると思います」とキッパリ。

10月24日・埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ 第24節・浦和レッズ×セレッソ大阪 ©J.LEAGUE

この日の入場者数は1万2863人。超満員の埼スタに慣れた那須にとって、ショッキングな光景かと思われたが、本人は否定した。

「コロナ前の活気・熱気に満ちたスタジアム、人であふれた広場に比べれば寂しさを感じますけど、それは仕方ないこと。コロナによって悪い部分や失われた部分を嘆くよりも、僕はいい部分、新しい部分を見ていきたい。

例えば、声を出さない拍手だけの観戦スタイルがあるじゃないですか。今まで細かいプレーに対する拍手はありませんでしたし、あったとしても選手に聞こえなかった。でもこの日はDFが体を張るプレーやスライディングなどにサポーターは拍手していました。あの拍手って、選手としてうれしいものなんです。

これからサポーターの見る目が変わったり、応援する質が変わったり、Jリーグや各チームが発展する意味で新しい観戦スタイルは重要なのではないかと思っています」

キックの際の音やコーチングの声など、これまで聞こえなかった音や声が聞こえるようになったのも新しい観戦スタイルの副産物である。

「選手やベンチのコーチングの声や体のぶつかり合いの音とか、普段聞けないところを聞ける。チームは本当に生き物だと思います。普段見えないものが見えて、新たなサッカーの魅力が伝わるようになりました。これはサッカー界にとって非常にいいことです」

2013年から5年間在籍した古巣・浦和レッズは現在13勝6分12敗の10位。

無風状態の中位に位置し、大槻毅監督の今季限りの退任も発表されている。選手たちはモチベーションの維持が難しい状況に陥っているのだ。だからこそ、那須は目の前の試合が大事だと力説する。

「選手それぞれ立場が違う。契約が複数年の選手もいれば、単年の選手もいるし、今季限りの選手もいる。今後方向性がどうなっていくかも気になります。モチベーション的に難しいのは確か。選手があれこれ考えるのは仕方ない。でも一番大事なことは目の前の試合です。

選手としてやるべきことは、研ぎ澄まして勝利に向かうこと。周囲の声を気にせず、いかに1試合にかけられるか。1試合でサッカー人生ががらりと変わることが本当にあるんです。

僕はそれを何度も経験させてもらった。だからこそ、選手たちには1試合も無駄にしてほしくない。どんな立ち位置でも試合には意味がある。ひとりでも多くの選手にそういうマインドを持って試合に臨んでほしい」

那須は浦和へ移籍して、選手の本質に気付いたと語る。

「サポーターがいて、スポンサーがいて、裏方がいて、選手11人はみんなの思いを背負った表現者なんだと浦和へ来て知りました」