八葉1人1人に秘められた想いが重なり名シーン続出!
もちろん、前作から引き続き登場するキャラ達もそれぞれに破壊力を持っている。
鐘ヶ江洸が演じる源九郎義経は、美しすぎる剣術に注目。着物の袖を押さえながら剣を振りかざす姿は、まるでゲームから飛び出してきたような麗しさ。兄である頼朝に追われる立場となり怒りに任せて暴れる姿にも品があり、うっとりと見入ってしまう。
君沢ユウキ演じる梶原景時は、頼朝の妻・政子の命令で裏切り者に転じてしまう難しい役どころ。
義経と対峙する苦悶の顔と、味方として望美を支えてきた回想シーンの生き生きとした笑顔のギャップはあまりにもやるせなく、本作の見どころの一つとして挙げられる。
モデルとしても活躍する幸田彩加が演じる本作の敵役・北条政子は、物語を波乱に導くキーパーソン。
微笑みを浮かべたまま呪術を繰り出す姿は、美しさゆえにますます怪しさを増し、正体を表した瞬間には思わずゾクリと身の毛がよだってしまう。
本作初出演となる伊勢大貴が演じる有川将臣はキャラらしい朗らかさと、迫力ある殺陣が魅力。
そして、大原海輝が演じる武蔵坊弁慶は原作では色気たっぷりの策略家だが、本作でも知的さと甘いマスクで乙女のハートを射抜きまくる。
前作に続いて杉江大志が演じるヒノエは、少年らしい軽快な動きと軽口が場を和ませてくれる。
千綿勇平が演じる有川譲の後輩キャラも健在で、本作でも望美を守る一途さが胸を打つ。
また、殺陣師としても活躍する新田健太が演じるリズヴァーンは、落ち着きのある剣さばきが魅力だ。中性的な魅力が人気の古賀瑠が演じる平敦盛は、雅な顔を勇ましく引き締めて武器を振るう姿に何度もハッと目を奪われてしまう。
野本ほたるが演じる黒龍の神子・梶原朔は、清純でおしとやかなキャラ。裏切り者となった兄への想いと、自身の立場のあいだで葛藤する姿が切ない。
小谷嘉一が演じる白龍は、神ながらもあどけなさを抱える存在。おろおろと立ち回る姿には思わずクスッとしてしまう場面もあるが、本作の醍醐味であり時を戻す「運命上書きシステム」を発動させる重要なポジションでもある。
悲劇を繰り返す望美を、時空を越えて救う優しい眼差しに癒されていただきたい。
このように出演者が多い作品だが、最大の魅力は全てのキャラにスポットが浴びるシーンがあり、魅力が随所に散りばめられている点。誰を推している人が見てもワクワクと新たな冒険を楽しめるし、ゲーム未プレイであれば本作で推しを探す楽しみもある。
愛する仲間を救うため、何度倒れても挫けず立ち上がる望美と、彼女と共に戦う麗しの八葉たちの活躍に勇気と希望が湧き起こる。果たしての望美は九郎を悲しい運命から救うことができるのか? 最後まで手に汗握るバトルが続く。
乙女ゲームの歴史に名を残す「遙か」シリーズ。2.5次元界に活気を呼び戻す起爆剤としても十分すぎる名作だ。
取材・写真・文:浅水美保