舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』
フォトギャラリー【写真20枚】悲願の上演を迎えた舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』開幕レポート
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1月22日(金)、池袋サンシャイン劇場にて、舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』が、悲願の開幕を果たした。

本作は、2018年に行われた舞台『遙かなる時空の中で3』の続編にあたるのだが、20年6月に予定されていた『遙かなる時空の中で3 再縁』の公演中止を乗り越えての開幕とあって、ファン期待も演者たちの熱気も一層のものとなった。

では、早速、舞台初日に行われたゲネプロの観劇レポートをお届けする。

吉川友がピンクのスニーカーで刀を振るう白龍の神子を熱演

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

原作は、誕生から20周年を迎えた和風恋愛アドベンチャーゲーム『遙かなる時空の中で』(コーエーテクモ)のシリーズ第3弾の続編『遙かなる時空の中で3 十六夜記』。

平安末期から鎌倉初期に似た異世界を舞台に、ごく普通の女子高生・望美が、「白龍の神子」となって源平合戦を戦い、その先に待ち受けていた源九郎義経の運命を共に辿る、切なくも激しいネオロマンス劇である。

主人公の望美は、現代から突如異世界に飛ばされてしまった高校生。龍神の白龍から「あなたは怨霊を封じる力を持つ龍神の神子だ」と告げられ、戸惑いながらも使命を果たすために剣の腕を磨いていく。

前作では、共に異世界に飛ばされた幼なじみ2人をはじめ、源九郎義経、武蔵坊弁慶など「八葉」と呼ばれる見目麗しい男性8人と共に、懸命に平家や怨霊たちと戦う望美の姿が印象的だった。

しかし、本作では、ひとまわり成長を遂げた凛とした姿で登場。トレードマークのピンクのスニーカーで舞台狭しと駆け回り、宿敵でありながらも複雑な想いを抱く平知盛に果敢に刃を突きつける壇ノ浦の戦いから物語が始まる。

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

そんな神子・望美を演じるのは、前作に引き続き吉川友。殺陣の巧さに定評のある鐘ヶ江洸演じる九郎と並んで激しく剣を振るう姿は、アイドルの肩書きを忘れさせるほどの迫力と魅力に溢れている。

戦う姿ばかりではない。過酷な運命に翻弄され苦悶する表情や、仲間たちに見せるあどけない表情、そして恋する少女の切ない表情など、どれも真に迫っていて、彼女が表情を変えるたび、見る者も同じく胸が痛み、和み、キュンと高なってしまう。

乙女ゲームにおいてプレイヤーの依り代となる女性主人公キャラは、ともすると疎まれてしまう危うい役柄でもあるが、吉川演じる望美は性別を問わず応援したくなる愛らしさ。まさに絶好のハマり役である。

真逆の2役を演じる中村誠治郎にギャップ萌えが止まらない!

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

さて、『十六夜記』で見逃せないキャラといえば、平知盛と銀(しろがね)。

前作では宿敵として登場した知盛は鬼のように恐ろしい武将でありながらも、普段はどこか艶っぽさのある魔性の存在で、本作でも舞を披露してその2面性で思う存分キュンキュンさせてくれる。

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

ところが、彼が去った後、今度は銀という別の人物として登場する。

彼が現れるのは奥州平泉。源平合戦に勝利した途端、兄・頼朝に追われる身となった義経が、かつて身を寄せていた平泉の藤原家に助けを求めて逃げ延びるのだが、そこで一行を迎えるのが藤原泰衡と泰衡に仕える銀。

銀は、知盛とルックスはうりふたつながら、性格はまるで逆。泰衡の命令で望美を守護するのだが、記憶を失っているという彼はどこか儚げで、口数も少なく、今にも消えて無くなりそうなほどナイーブな存在。それだけに、彼が不意にささやく甘い言葉は1度聞いたら頭から離れなくなるほどの威力を放つのだ。

そして、ピンチの時に颯爽と登場する姿は麗しいの一言。彼の魅力に抗える手段はまずない!

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

演じるのは、前作に引き続いて出演の中村誠治郎。13年前に幕をあげた「遙か」シリーズ1作目から出演しているベテラン俳優だけあり、2役の演じわけは完璧。

猛々しい知盛から、もの静かな銀への転身は違和感がないばかりか、開演前のインタビューで本人が話していた通り、これでもかと男の色気を振りまいていく。

悲しき独裁者を演じるのは2次元に最も近い美男子・和合真一

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

藤原泰衡は、ゲーム最新作『遙かなる時空の中で3 Ultimate』で初めて恋愛ルートが追加されたキャラ。眼光鋭い合理的で怜悧な青年であり、白龍の神子である望美に対しても慇懃な態度で突き放すような言動をとる。

陰陽道に通じているため本作の見どころである殺陣での活躍はないが、巧みな話術で人々の士気を高める姿には、圧倒的なパワーがみなぎっている。

彼は味方なのか ?はたまた敵なのか……?

舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』

そんなミステリアスな奥州藤原氏の総領を演じるのは、2.5次元界で最も2次元に近いイケメンの異名を持つ和合真一。前出のインタビューでは鋭いツッコミで場を沸かせてくれた彼だが、役に入るとまるで別人。泰衡が乗り移ったかのようなカリスマ性を発揮する。

ゲームでは様々なエンディングを迎えるが、本作では衝撃的なラストシーンを飾り、終演後には最も印象に残る存在となる。