人を好きなったら、棒立ち状態になってしまう

――森さんお勧めのキュンポイントはありますか?

この映画は透が見せるツンとデレの対象が実は同じ人というのが良くて。映画を観ている人は湊とみなに同じように感情移入できると思うので、ツンとデレを両方味わえて、キュンキュンできるんじゃないかと思います。それはこの映画にしかない感覚だから、ぜひ味わっていただきたいです。

――森さん自身がキュンとした場面は?

予告編にも入っているのですが、透がみなに両手で手を振るところは、松村さんのアドリブで。松村さんにはクールなイメージを持っていたので、「こんなこともできちゃうの!?」という驚きもあり、キュンとしました。ただ、その意外な一面でより松村さんのことがわからなくなった、というのもありました(笑)。

――森さんにとってギャップはキュンポイントですか?

私は男女問わず、ナチュラルな雰囲気がある方に対して、仲良くなりたいな、と思うので、そういうギャップをナチュラルに見せられる人は、不思議で、面白い方だな、と思います。

――湊の恋愛傾向を森さん自身はどう思っていましたか?

ちょっと驚きというか……。結果的に流されることで、恋が動いていくんですが、私としてはあんなふうに流されてしまうのも、その果てに自分から歩み寄っていくことも驚きでした。私自身とは違うのかな、と。

――湊と同じ状況に陥る、ということは考えづらいと思いますが、自分を偽って出会ってしまった相手を好きになることはあるのかな?と思いました。その場合、森さんだったらどうすると思いますか?

私は人を好きになったら、そこから何かができるとは考えられないです。本当に棒立ち状態になってしまうので(笑)。好きになったら何もできずに、自分の気持ちが消えるまで、放っておくことしかできないです。

だから自分を偽って出会っていたとしても、そこから本当の自分を見せていこう、ということもできず、何か新しく着飾ってよく見せようということもできず……。なので、相手にとっては、そのときに出ていた私のままの印象で終わるんだろうな、と思います。

――計算する、なんてことはできない?

とてもそんなことはできないです。

――そうすると、そのときに出ていた森さんを好きになってもらうしかないですね。

そんなことがあれば、超ラッキーだなっていう感じです(笑)。

撮影:小嶋文子

――透のツンとデレはどちらの方がタイプですか?

あんなにツンとするのも「えっー」って思いますし、デレもあそこまでいくとさすがに重いとも思うので、中間がいいです(笑)。

ツンは、私は相手の気持ちに気づいて、愛想笑いをすることも素敵だと思うので、そのくらいはしてほしいです(笑)。

デレも携帯を買ってくれるとか、ちょっとびっくりしますよね。ただ透がやるとかわいいなとは思いますし、湊は結果的にツンもデレも両方経験できるので、ある意味中間で、あれがいいな、とは思います。

――烏丸くんのような気遣いタイプはどうですか?

素敵だと思います。ただ私が好きになる男性がいるとしたら、ドラマ『カルテット』(2017年1月期/TBS)で、松田龍平さんが演じていらっしゃった別府さんのような人です。ちょっと変人なんだけど、常識人。白いワンピースを着て、ナポリタンを食べていたら、さらっとエプロンをかけてくれるような人。つまり、別所さんがいいんです(笑)。ただあれは完全に(脚本家の)坂元裕二さんが精密に作り上げたキャラクターなので、幻想を抱いています。

――最後に今作の見どころを教えてください。

とにかく、楽しむ気持ちを持って劇場に来ていただければ、と。予告編からも感じるテンポの良さや、面白さをそのまま信じていただければ、きっといい意味で期待を裏切られてお帰りいただけると思います(笑)。


変装した姉と義理の弟の恋なんて、あり得ない!と思う一方で、森さんが言うように「親近感が沸く」のが今作の魅力。そんな親近感は、森さん自身が本来持つものに、原作を参考にしながら緻密につくられた演技によって実現できたのだと、改めて話を聞いて感じました。ぜひ劇場で自分のことのようにキュンキュンしながら観てほしいです!

ヘアメイク:池田ユリ(éclat) スタイリスト:申谷 弘美(Bipost)/Hiromi Shintani

作品紹介

『ライアー×ライアー』
2021年2月19日(金)全国ロードショー