JAM Project 撮影:源賀津己
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  • 福山芳樹 撮影:源賀津己
  • きただにひろし 撮影:源賀津己
  • 影山ヒロノブ 撮影:源賀津己
  • 奥井雅美 撮影:源賀津己
  • 遠藤正明 撮影:源賀津己

“先駆者”という言葉がこれほどぴったりな者たちもいないだろう。

アニメや声優という、令和の時代において既にメジャーの地位を確立しているカルチャーが、まだごく一部のファンの間で愛好されるだけの存在だった2000年の時点で、日本を代表するアニソンのボーカリストたちによって結成されたユニット“JAM Project”。

その活躍は国内にとどまらず、日本のアニメの国際的な隆盛と共に、世界中のアニメ、そしてアニソンファンを熱狂させてきた。

彼らの結成20周年に密着したドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』が公開となる。メンバーたちの軌跡や葛藤、さらにコロナ禍による全ツアーのキャンセルなど、彼らに起きた全てをカメラが捉えている。

映画の公開を前にメンバーの影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹にこれまでの20年、そしてJAM Projectの“これから”について話を聞いた。

あっという間の20周年。まだまだ止まれない!

── あらためて昨年に結成20周年を迎えての感想と、これまでの活動の中で印象深い出来事について教えてください。

福山 印象的な出来事はいっぱいありますけど……2003年に僕は入ったんですけど、まずJAMに入れたってことが一番印象的です。

最初からレコーディングで代表曲の『SKILL』を歌っていたし、今でもライブの最後に『SKILL』をやる──こういう素晴らしい曲に出会えて、それがJAMの基本になっているというのは嬉しいですね。

『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』 © 2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

きただに 僕は20年の中で、最初の半分くらいの期間は自分の中で「あれ? JAMの中であんまり機能してないんじゃないか?」という不甲斐なさがあったんです。だからやっとJAMの一員になれたのかな……?と思えるようになったのが最近のことで。

20周年なんてまだまだあっという間の感じで、これからもっとJAMで頑張れる、躍進できるという気持ちの方が強いかも。あっという間の20年でした。

『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』 © 2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

影山 20周年の感想は、こんなとんでもないときに重なっちゃって……海外も含めて計画していた20本以上のライブが全部なくなり、去年という1年を本当になかったことにしてほしいくらいの気持ちなんですけど(苦笑)。

ただ、まんべんなく世界中の人たちと同じものと戦っているという感覚は人類の歴史の中でも初めてのことかもしれないと思っていて、何とか乗りきるまで頑張るしかないなって気持ちです。

で、20年の中で一番っていうと、このメンバーで今、解散したりメンバーチェンジしないでJAM Projectが存在していて、いつでもGOサインが出たら再開するぞ!という態勢で存在できているということがすごく嬉しいです。

こんだけの歳になってもJAM Projectって音楽的に進化しているので、そこを1日も早く進めていきたいなと。奥井ちゃん、どうぞ!

『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』 © 2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

奥井 20周年を迎えてですよね? 正直、こんなに長く……20周年を迎えられるとは思ってなかったところもあるかな? 3年目くらいで自分が入って、まさか20周年を迎えるなんて! でも迎えてしまうと早かったから、あのまますんなりツアーができていたら……。

あのまま、「やりきったね」っていう状態でJAMが「これからどうしようか?」と迷うよりは、コロナがきっかけで、まだまだ止まれないな、と感じた部分が自分にはあって。

(コロナというのは)よくないことではあるし、大変な思いをしている方々もいっぱいいらっしゃるんですけど、ポジティブに捉えるとすればそういう部分もあるのかなと。

印象的なことは“今”のこの状態が印象的ですね。コロナ禍の中でJAM Projectを続けられて映画を作ってもらって、この先、ツアーをいつできるかって思っている“今”ですね。

『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』 © 2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

遠藤 20年……そうですね、まさか20年やるとも思ってなかったので、考えてみると早かったですね。それだけ充実してたんだろうなと。いろんなことに挑戦させてもらって活動してこれたからこそ、あっという間に感じるんだろうなと。

俺も自分のバンドやユニットの中で、こんなに続いている活動はなくて。18歳で田舎から出てきたので、ある意味、家族より長くこのグループでみんなと一緒にいるので、そういう意味では愛着もあります。

印象的な出来事は……何でしょうね? 僕の夢だった武道館にもこのグループで立てたし、世界に行って歌うんだって夢もこのグループで叶えさせてもらったし、ひとつじゃないですけど、そういうのがすごく印象的です。

『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』 © 2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

“アニソン”に感謝「人生を助けてもらった」

── 今の若いシンガーは、最初から「アニソンシンガーになりたいです!」という人も多いかと思います。みなさんの場合、必ずしも最初からアニソンを歌うことを希望されていたわけではなかったかと思いますし、今もご自分のバンドや活動をされつつ、JAM Projectでも活動をされています。あらためてみなさんにとって“アニソン”とはどういう存在なのか? 教えてください。

福山 アニソンというのは僕らが子供の頃は、音楽のヒットチャートとかグループとは別に存在しているものだったので、交わることはなかったんですけど……。

ただ、僕らが大人になる頃にはみんなで歌える曲ってアニソンやヒーローの曲が多かったので、大人になって、そういうジャンルを歌えたってことは、自分の生活とかバンドを維持するためではなく、単純に歌えて良かったなと思います。

福山芳樹 撮影:源賀津己

「アニソンというのはジャンルではない」──音楽のジャンルとしてはないと言われている気がするけど、僕らとしては、アニソンの音楽スタイルってあるんじゃないか?と最近は思っています。

特に90秒というサイズだったり、映画にしても最初に音楽があってエンディングにも音楽があって……という感じで、アニメが細かくなればなるほど、それに応じて細かく展開していくのは、僕らのようなストロングスタイルのアニソンがぴったりだと思うし、僕らが作ってきたものなんじゃないかなと思います。

きただに 僕もJ-POPでデビューして、“戦力外通告”を受けて……という感じで、このアニソン界に拾われたというか、恩返しの気持ちがあります。人生を助けてもらった業界ですね。

きただにひろし 撮影:源賀津己

デビュー前から応援してくれていた友達が、僕がアニソンを歌うようになってから、イベント、ライブを見に来てくれたときのひと言がすごく印象的で、「え? こっちの方が天職なんじゃないの?」って。そうなのかもしれないなって自分でも思いますね。

自分の性格、こういう声質とか、生き方とか、全てこっちの方が向いていたのかな? なるようになったのかなって思います。

影山 僕も(きただに)ひろしと一緒で、10代の頃にやっていたバンド(LAZY)が解散して、その後5年くらい、メチャメチャ低迷してたんですよ。レコード会社をクビになるわ、事務所もクビになるわ……。

バンドを解散してすぐの頃はホールとかでやってたけど、2年もしないうちに演奏できる場所はどんどん小さくなっていって。

影山ヒロノブ 撮影:源賀津己

それでも、「それまでできなかった曲を書くぞ! 詞も自分で書くぞ! 年間150本くらいライブやるぞ!」って根性だけでやっている頃──24~25歳だったかな? 当時のコロムビアの木村(英俊)ディレクターに「来年の戦隊シリーズの歌をやってくれないか?」と言ってもらえたのが、何年ぶりかで世間から見てもらえた自分だったんですね。そこから今日まで、途切れていないのが自分の人生なんです。

そこからスタートして、最初はやはり感謝がありますよね。自分を暗闇から救ってくれたくらいの。ファンのみなさんも当時、影山ヒロノブのスタイルみたいなものに対して、すごくウェルカムな反応を示してくれて。自分を救ってくれた業界とファンに恩返しがしたいというのがスタートだったんです。

そこからもう35年過ぎて、今思うのは、アニソンシンガーって、そのアニメ作品がセンターに座っているとしたら、その周りの一員になる覚悟を持ってやっているのかどうか?というのがアニソン魂だと思うんです。

『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』 © 2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

自分がアニソンで何に一番の喜びを感じたかとふり返ると、まずやはり、作った作品のプロデューサーたちが聴いて「うわぁ、今回の曲、サイコーです。俺たちが伝えたいことがこの曲に全部入ってます」と言ってくれたらめっちゃアガリます。これこそが俺たちの仕事なんだなって思います。

その次に曲がリリースされたとき、ネットなどで番組や原作マンガについているファンの人たちが「神!」とか言ってくれたら、そこで俺たちは「いい仕事に参加できて良かったな」って心から思えるんですよね。それがアニソンマンの立ち位置であり、一番かっこいいところだと思うんです。

声優さんやアニメを作っているスタッフさん、音響さんとか、みんなのチームの一員というのが、アニソンミュージシャンの男っぷり──いや、女性もいますけど(笑)──だと思うんです。

アニソンって“音楽性”じゃないので、ただ「アニソンシンガーになりたい」と思ってなるってちょっと変だなと思うんですけど、でもそこに「俺は遠藤さんの歌が死ぬほど好きで、あんなふうに歌えるプロになりたい!」「奥井ちゃんみたいに歌えるシンガーになりたい」ってことなら全然OKだと思うんです。それは俺たちが憧れた70年代のロックスターと全く一緒だと思うし、卑下する必要は全くない。

ただ、アニソンシンガーになりたいなら、自分たちの立ち位置を職業的に誇れるような気持ちを持ったミュージシャンになってほしいですね。それがアニソンスピリットじゃないかと。