プロ18年目を迎えてなお成長し続ける家長

家長昭博(川崎フロンターレ) © J.LEGUE

さらに中村憲剛が引退し、日本人選手最年長となった今季、意識の変化が生じたか問われると、家長はこう返した。

「心境の変化はまだそんなに感じていないが、1年間やっていく中でどう変わっていくのか自分でも期待している。チーム内の役割もそこまで大きく変わらないが、一番上の選手がやっていると周りもついてやっていけると思うので、そこは率先してやっていきたい」

昨季、中村より発表前に引退を告げられた後、家長は「心にぽっかり穴が開いたような」喪失感を感じていた。なぜなら、家長は中村を「永遠に勝てないライバル。勝てないけど、挑みたい。もう、勝てないけども、自分の中では一番負けたくない人」ととらえていたのだ。

昨季が終了した時点でも家長は「正直、今の自分には憲剛さんがいなくなった後の覚悟とかはまだない。それぐらい実感が湧いていない」と語っていた。

今季がスタートしても心境の変化を自覚していないが、家長はこれからも心の中のライバルに負けないよう成長し続けるだろう。プロ18年目を迎えてなお成長を止めようとしないのだ。

(写真左より)家長昭博(川崎フロンターレ)、田中碧(同) © J.LEGUE

家長と同様に川崎Fもさらなる高みを目指している。

史上最速に史上最多勝点、最多得点、最少敗戦など記録尽くめのリーグ優勝とともに『天皇杯』との2冠を達成し、今季は全19チームのフロンターレ包囲網が敷かれることだろう。『ACL』との過密日程も待っている。困難なシーズンが予想されるが、それらを凌駕するフロンターレのサッカーを作り上げようとしている。

上々のスタートを切った川崎Fと家長。彼らの飽くなきチャレンジを見届けたい。

あおやま・おりま 1994年の中部支局入りから、ぴあひと筋の編集人生。その大半はスポーツを担当する。元旦のサッカー天皇杯決勝から大晦日の格闘技まで、「365日いつ何時いかなる現場へも行く」が信条だったが、ここ最近は「現場はぼちぼち」。趣味は読書とスーパー銭湯通いと深酒。映画のマイベストはスカーフェイス、小説のマイベストはプリズンホテルと嗜好はかなり偏っている。