最初に観た年から毎年、『ピーターパン』が好きで観に行っていて。それを知っていてくださった方がいて、2017年にタイガー・リリーとして舞台に呼んでいただけたんだと思っていて。ありがたいご縁と言いますか、本当に嬉しかったです。

--観客として観ていた舞台に自分が立つ場合、それがプラスに働く事もあれば、プレッシャーに感じてしまう事もあると思うんです。

初めて『ピーターパン』を観た時は、私自身まだミュージカルというものを、今のように頻繁に観に行っていなかった頃で。

とにかく生の舞台の空気感が楽しくて。「空飛んでる、すごい!」「あの動きはどうやっているんだろう」「音楽、ステキだな」って、子どもと同じような感覚で観に行っていたんです。

『ピーターパン』のストーリーが持つ奥深さにも、まだ気づいていなかったし、ましてや自分がその舞台に立つなんて思ってもいなかったから、タイガー・リリーも登場人物のひとりとしてしか観ていなくて。

だから、その舞台に立つとなった時は、プレッシャーはなくて、逆に、ただただ嬉しさしかなかったというか。

--なるほど。純粋に舞台を楽しんでいたんですね。

だからよかったんだと思います。でも今は逆にそうできなくなっていて、いろんな舞台を観ていても、ふとした時に、“自分だったらどうするかな?”とか、余計な事を考えてしまうんです。

最初に『ピーターパン』を観た時の圧倒された感覚や衝撃がなければ、どんなに知り合いが出ていたとしても、毎年は観に行っていなかったと思います。

今は、作品に出る立場ではありますが、また、客観的に純粋に『ピーターパン』を観て、お客さんとして、また新しい発見をしたいなと思ったりもしています。

--今年の『ピーターパン』は、作品が楽しみなのはもちろんですが、昨年からの状況下で、劇場の空気感に触れられる喜びも、大いに感じられそうですね。

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