実は小日向が男性役で、ジルベールが女性役
――お二人の関係性がしっかりと出来上がっていることを感じます。
山本:けど、二人のときの小日向は受け身に見えるかもしれないけど、わりと投げてもいるんですよ。航くんも投げているようで、受けてもいて。やればやるほど表面的に見えている関係とは違うところも出て来て、それがやっていて楽しいんですよね。
磯村:意外と攻防戦なんですよね。台本の文字だけ見ると、ジルベールが一方的に感情を投げつけて、それを大ちゃんが受け止める形にはなっているんですけど、山本さんが大ちゃんを演じて二人でシーンを作っていくと、不思議とお互いに波のように引いたり押したりしていて。そうやっていくうちに、台本以上のものが出来上がるのはすごく楽しかったです。
――それは劇場版を経ての感想でしょうか?
山本:さっきも言いましたけど、今回、特に劇場版だから何かをするってことはなくて、作り上げられた世界観に従いながら、膨らませられるところはやってみるという感じだったので、ドラマの頃からの感覚ではあります。
ただ僕としては特にスペシャル版のときに二人の関係性がより見えたというか。二人を中心に描く回があったので。そのとき「この二人ってめちゃくちゃ面白いな」と思って。それこそ現場では二人のどちらが女性役で、男性役なんだろう?という話もして。
――見えている関係性で考えると、小日向さんが女性役なのかな、とは思いますけど。
山本:それが実は逆なんですよ。スペシャル版で航くんが料理を作って、小日向に作ったことを「迷惑だったの?」って言うシーンがあるんですけど。それに対して「そんなことあるわけないだろう」って返すとき、小日向が実は男性役というのをお芝居で見せてください、と言われて。
ちょっと目をギラっとさせてみた記憶があります(笑)。そういう設定を感じながらやると、絶妙におかしかったりもするんですよね。だからあのときの航くんはかわいいな、と思いました(笑)。
磯村:ジルベールはツンデレですからね。そんな目で見られたらね(笑)。
――そう考えると、またドラマ版から観直したくなりました。磯村さんは演じていて、山本さんのお芝居から影響を受けた部分はありますか?
磯村:ドラマ版の最初のころはジルベールが一方的に動く“動”のイメージでいたんですけど、山本さんと二人で作っていく中で“静”の部分も見えたというか。それも必要なんだ、と気づきました。
例えば大ちゃんが動くのに対して、こちらも一緒に動いてしまうとごちゃっとなってしまうので、そこは僕が引くとか。その引く瞬間があるから、二人の関係性がより見えることもあるな、と。
もちろん場合によってはそれでも“動”となっていく瞬間もありますけど、一辺倒で深みがなくなってしまうので、その二人の距離感は山本さんとやっていく中で引き出していただいた部分ですね。