僕とやるときは枠を超えていろんなことに挑戦してくれる柔軟な酒蔵

橘ケンチ 撮影:鈴木規仁

橘の話にも出てきたが「田中六五」は現在杜氏を務める田中克典氏によって生み出された、白糸酒造にとってある意味“看板”となっているブランドである。

安政二年(1855年)創業の酒蔵が、橘の提案に対し「やってみましょう!」とすぐに新たなチャレンジに舵を切る。常に革新を求める気風、そして何より橘が地道に培ってきた信頼があってこそ実現した挑戦だろう。

「こちらが『こんなことをやってみたい』と提案したとき、田中さんから『NO』と言われることってほとんどないんです。すぐ『あぁ、いいですね。やりましょう』と言ってくださるんです。

『六五』というブランド1本でやりつつ、僕とやるときはその枠を超えていろんなことに挑戦してくれる、本当に柔軟な酒蔵さんなんですね。

蔵人さんも20代、30代の若い方が多いし、現場もアットホームで和気あいあいとしてて明るいんです。日頃から培ってきた関係を土台に、こういうトライをさせていただけるというのはすごくありがたいことですね」

こうして出来上がった「5013橘」だが、仕上がりに関しての自信、手応えは?

「僕も酒づくりの現場に行かせていただいて作業にも参加しましたが、とはいえそれ以外の大半の部分は蔵人さんにお任せすることになります。そこは全面的に信頼していましたし、『絶対においしくなる』という確信、安心感はありました。

とは言え、新たな取り組みであり、従来そこまで強い酸味を感じることのない『田中六五』に酸味が加わることでどう転ぶのか?というワクワク、ドキドキ感はありました。

実際、飲んでみると、これまでの『田中六五』とは違うお酒になっていて、でもどこかに“らしさ”を感じさせてくれる、不思議な美味しいお酒になったなと感じています。

ボトルのデザインもすごくクールでかっこよく仕上がっています。田中さんのところは三兄弟なんですけど、長男が杜氏で、次男はグラフィックデザインをやっていて、三男は蔵人として働いているんです。

まさにファミリーでこうやって働いて、ボトルのデザインに関しても毎回、派手過ぎず、インパクトあるものを出してくださるんです」

「5013橘」の造りに参加した中務裕太(左) 撮影:鈴木規仁

ちなみにこの「5013橘」の造りには、橘の後輩である中務裕太(GENERATIONS)も参加している。

「裕太はメチャクチャ日本酒が好きで、たぶん僕よりも飲んでるんじゃないかって感じです(笑)。

以前、秋田の酒蔵さんとつくった『亜麻猫橘』をメンバーにプレゼントしたんですが、それを機に日本酒が好きになったらしくて、僕ともよく飲むようになっていろんな活動にも参加するようになったんです。

『いつか酒蔵にも行きたい』と話してたんですが、ちょうど今回、タイミングが合って、一緒に来てもらうことになりました。

裕太だけでなく他にも『おいしい』と言ってくれるメンバーは多いので、EXILE TRIBEの中でそういう仲間が増えて、ムーブメントになっていったら嬉しいですね」