「醜男」といわれるシラノだが、はたして美醜の基準とは…?

撮影/川野結李歌

――シラノは“大きな鼻”であることに、つまり自分の容姿にコンプレックスを持つ人物ですよね。NTライブの主演俳優ジェイムス・マカヴォイにしても古川さんにしても、端正な資質を持った俳優さんがシラノの役を演じる、その効果についてはどう思われますか?

ああ〜、ということは、古川さんのことを醜男だとは思わないんですか?

――えっ!(思いがけない切り返しに動揺…)そんな、思ったことないです。

美醜の基準って何だろう……と、僕もわからないんですよ。アンケートを取ったら、おそらく100人中の99人は「古川さん、カッコいいよね」って言うだろうけど、その定規を誰も持っていないのに、皆でそう言うのは不思議だなと。

今回、芝居の中で古川さんは何度も何度も「醜男」と言われるんですよね。そうなると「醜いって何だっけ!?」って皆で考えるようになったりして……。

――観客も混乱してくるかもしれない!?

そうだと思う。この稽古場でそういうことを話していると、とても難しく思えて来て、「古川さん、イケメンだね」なんてことも、あっさりとは言えなくなって来る。誰かの容姿に関して触れることを、ものすごくしたくない気持ちになって来るんです。

でも何か、基準というものはあるよな……と思うし。そうやって、稽古場の僕らも美醜って何だろうというなぞなぞを考えさせられていますが、お客さんもご覧になりながら、考えてくれるんじゃないかなと思います。

撮影/川野結李歌

――シラノという人物がどう見えるのか、なぞなぞにどんな答えを出すことになるのか、これまでにない観劇体験になりそうです。

古川 表現の可能性といったものに衝撃を受ける方もいるんじゃないでしょうか。とても新感覚であり、奥深い作品だと思います。僕自身も初日までにその深さを全部知り尽くすことは難しいですし、幕が開けてからもどんどん発見していく楽しさがあるような気がします。

お客さまも1回じゃわからないと思うので(笑)、2回、3回と観てほしいです。

たぶん演劇をやっている方は皆、感じたことがあると思いますけど、稽古の初期や中盤ではオーバーだったり、強い表現をしていたのが、中盤から後半になるとむしろシンプルに、削ぎ落とされた表現になっていく場合がある。

今、我々は言葉を持って、掘って、色付けしている段階ですけど、本番が始まったら逆に削ぎ落としていくことになるのかなと。お客さんにとっても、言葉を浴びながら自分の中で想像が広がっていく、実はそれこそが演劇の正体なんだ、ってことに気づいてもらえる芝居です。

言葉の迷宮、その虜になって、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

公演情報

『シラノ・ド・ベルジュラック』

【東京公演】
2022年2月7日(月)~2022年2月20日(日)※2月7日はプレビュー公演
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
【大阪公演】
2022年2月25日(金)~2022年2月27日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

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