その時に生きた証がそこにあるだけ
完結までエドを演じ切って、山田の中でエドはどのような存在になったのだろうか。 問いに「どうなんでしょうね……エドはエドなんですよね」と、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「もちろん、エドは特別な存在ではありますけど、他の作品をやるときにエドを思い出すことはないですし。引きずっていたら、いま撮影しているドラマでもしかしたら錬金術を出しちゃったりするかもしれない(笑)。
僕が演じたエドがそこにいるだけで、自分にとってどうなのか、というのはどの役でもそうなんですけど、その時に生きた証としか言いようがないというか。だから改めて2年越しに作品を観ると、懐かしい想いにふけると思うんですよね」
前作から4年を経て、自身の成長であったり、変化を感じた部分はあったのだろうか。
「自分自身の成長は、自分ではわからないんですけど、作品を撮るときに前作で感じていたような戸惑いみたいなものは一切なかったかな。
作品の要領やスタイルも全部わかった上での撮影だったので、監督と話す内容がだいぶスタイリッシュになったというか。余計なことを話す時間がなくなりましたね」
『最後の錬成』ではエドとしてだけではなく、ひとりで三役をこなす。心身ともにハードなシーンも多い。
「僕が2人いるわけではないので、片方を1週間演じて、もう片方も同じシーンを1週間かけて撮る。ワンシーン撮るのに2週間ぐらいかかる現場でした。相手がいない状態で動きを想像しながらやるんですよね。
グリーンバックのスタジオで、建物もなければ木の枝1本もないような現場で撮影しているので、『何をやっているんだろう?』と思い始めたらおしまいなんです。その気持ちを保ちながらずっと戦い続けるというのは大変でした」