――尊敬する俳優はいますか?

久保田「香川照之さんや山田孝之さんですね。真面目な役もできるし、ひょうきんな役やヒステリックな役もできる、そういうアクの強い俳優に僕もなりたいと思っています。そのためにはただ演技の勉強だけをしていてもダメだと思うんです」

――役者としてどんな勉強を?

久保田「一番の勉強は普段の生活です。たとえば町を歩いて人とすれ違ったとして、その人がどういう表情をしているのか、コンビニで店員さんはどういう仕草をしているのか。そういった日常生活の場面を観察しておくと、舞台で似たシーンがあったときに参考になりますよね。日常にアンテナを張り巡らせることが役者として大きくなるための近道だと思っていますね」

 

――勉強熱心ですね。

久保田「ただ、俳優になる前となった後では、映画や舞台の見方が変わってしまいましたね。素直に見られなくなりました。出演者のセリフの喋り方や表情などを見てしまうんです。客席からだとこう見えるんだなとか。職業病ですね(笑)」

――好きになると追求するタイプなんですね。

久保田「そうですね。趣味が仕事みたいなものなので、本当に楽しいです。とはいえ落ち込むこともあります。そんなときは走ったり、温泉に行ったり、犬を飼っているので一緒に遊んだり散歩に行ったりして一回全部忘れます。リセットしてから、また前向きに考えるようにしていますね」


インタビューに答える屈託のない笑顔からは、初主演へのプレッシャーはまったく感じられず、心の底から演技を楽しんでいることが伝わってくる。自分なりの演技を見せたいと語る久保田秀敏がどんな八雲を見せてくれるのか。舞台版『心霊探偵八雲 いつわりの樹』は、8月21日(水)より青山円形劇場で公開となる。

 

 

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ