二人は二人なりに幸せなんじゃないか
――怜人と真知子との関係性についてはどんなことを感じましたか。
お互いに弱いんですけど、真知子の方がちょっとだけ強い。最初は一緒に傷をなめ合っていたんだけど、真知子が少しずつ成長してそのおかしさに気づいていくんですよね。
真知子は成長しなきゃという責任感もありつつ、そのことによって怜人との間に生じてしまう溝とか、差に、ある種の寂しさも感じている気がして。真知子の方がちょこっと強いけど、それほど差がないからこそ、沼にハマっていくんだろうなとも感じました。
怜人の方が子供なんだけど、真知子の方が自分自身のことをよりわかっているから、その子供の部分も愛したいと思う。真知子はそういうこともわかった上で結局愛してしまうという、ズブズブな感じですね。
だけど、二人の中では理想郷とも言えると思うので、ある種、幸せだなとも思います。傍から見るとクズ男に捕まっちゃったというのは、火を見るより明らかなんですけど、その世界で生きている二人からすると、それだけじゃない魅力がお互いにあって。
経済的に支えてくれるというだけではない真知子の魅力とか、逆に真知子も自分が経済的に支えているだけではなくて、精神的に怜人に支えられている部分もある。内側からしか見えない、得られない幸福感みたいなものはきっとあると思うんです。
だから僕の理想ではないし、きっとみんなにとっても理想ではないかもしれないけど、二人は二人なりに幸せなんじゃないかと思っています。閉鎖された世界だけに、中に入ってみないと二人にとっての理想郷ということに気づけないんじゃないかな。
――前田敦子さんとの共演はどうでしたか。
お会いする前に抱いていたイメージとは少し違ったかもしれないです。もっと物静かな雰囲気をイメージしていたんですけど、すごく気さくな方で、積極的に話しかけてくださいました。
他の共演者の皆さんとも仲が良くて、“こんな感じの方だったんだ”って、意外に思った印象があります。
――次に共演できるとしたら、どんな関係性がいいですか。
それこそ現場では和気あいあいとできたので、恋人というより友達とか。今回のような会話劇もいいですけど、あっちゃんの、あっちゃんなんて呼んだことないですけど(笑)、あっちゃんの普段の感じをフラットにもっと見てみたいなと思いました。
――どういう流れでそうなるかはネタバレになるの触れられないのですが、4組のカップルが一堂に会するシーンはどうでしたか。
単純に台本を読んだ時は“これは時間がかかるな”って思いました(笑)。ただ蓋を開けてみたら、そんなに時間がかかった記憶がないんです。みんなで一緒にいたから楽しくて時間を忘れていたのかな?と、思ったりもしているんですけど。
大掛かりな仕掛けもあって、スタッフさんは大変だったと思うんですけど、僕としてはスムーズに、チーム一丸となってサクサク撮れたイメージでした。だからこそできたみんなの生き生きとした表情だったんじゃないかと思います。
段取りが上手くいかなくて時間がかかっていたら、逆にあんなにいい表情にならなかったんじゃないかな。少なくとも僕はそうだと思っています。