二人が結局満足してるって、何かを乗り越えている

©2022『もっと超越した所へ。』製作委員会

――現場で印象に残っていることはありますか。

読み合わせをしたときなんですけど、組になっている二人ずつ行っていったんですね。何時から何時はこの組、次は僕ら二人みたいに。

それで、僕らの前が(伊藤)万理華ちゃんとレイジくんだったんですけど、時間のちょっと前に着いて待っていたら、万理華ちゃんの絶叫する声が漏れ聞こえてきて(笑)。

“女優さんって本読みからトップスピードでいくんだ”って思いました。僕は本読みの時って恥ずかしくて、できないタイプなんですよ。だから“すごいな”って、ビビっちゃったのを覚えています。

――菊池さんが思う“もっと超越した所”とは、どんなところでしょうか。

先ほど話したことに近いと思うんですけど、外から見ると美しくもない、理想でもない、理解ができない二人だけの恋模様は、逆に内側から見てみると実はすごく幸せで、一つ超越していると思うんですよね。

普通だったら嫌だよね、あり得ないよねという関係だけど、二人が結局満足してるって、何かを乗り越えていると思うし。

真知子も何かおかしいと気づきながらも、今のこの関係値が心地いいってところに落ち着く時点で何か超越していると思うので。二人だけにしかわからない関係というのは、恋愛で言うと超越するってことなのかなって思います。

でも本来、恋愛ってそういうものだと思うんです。世間の流れとしては、当事者はいいと思っているのに、なぜか周りから否定されたりすることも起きていますけど。

この映画って“あれはクズだ”とか、“これはありえない”とか、やいのやいの言いたくなるじゃないですか。でも二人の中では幸福感や満足感が得られる理想の形だったりもする。よく考えると深いなと思いました。考えさせられましたね。

――本作は菊池さんにとって2作目の映画出演作になりましたがいかがでしたか。

またやりたいなと思いました。もちろんドラマも好きなんですけど、どうしても時間に追われることが多くて。時間との勝負みたいなところもあるんですけど、映画ってスケジュールに細かい時間が書いてなくて、撮りたいものが撮れたら終わりみたいなところがあるんです。

どんな画が撮れるか、どんな表情が撮れるかっていうことにフォーカスを当てていて、より作品に向き合っている感覚が新鮮で楽しかったです。ただそもそも僕は映画出演の経験が少ないので、“他の映画はどうなんだろう?”と、興味が湧いています。

ドラマではやったことがないような、アウトローとか、ちょっと男臭い役も今後はやってみたいですね。