もしも妻が、溜まりに溜まった夫への不満を書き込んで共有できるSNS《旦那デスノート》に自分への鬱憤をぶつけたていたら……?
そんな夫側からすると背筋が凍るような、妻側からすると思わず共感するようなイントロダクションから始まるのが、映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』。犬も食わない夫婦のバトルをコミカルに描きつつ、夫婦という赤の他人が生きていく上で何が大切かを、優しい涙と共に気づかせてくれる。
そこで、ダメ夫の田村裕次郎役の香取慎吾と、裕次郎の職場の後輩・若槻広人役の井之脇海にインタビュー。映画のことから、2人のSNSに対する考え、人付き合いで大切にしていることまで、たっぷり語ってもらった。
香取さんのスピーチは、台本で読んだときよりも響くものがあった
――まずはお互いの印象について聞かせてください。
井之脇 僕はもう小さい頃から見させていただいていたので、今回お話をいただいたときに香取さんと会えることが純粋にうれしかったですね。現場でも気さくに話しかけてくださって。小さい頃に見ていた人と会うと構えちゃうところがあるんですけど、おかげでそんなこともなく、自然にお話ができました。
香取 結婚式で僕がスピーチをするシーンがあるんですけど、撮影の合間に井之脇くんが「すごく響きました」って言ってくれて。あんまりそのときはまだ話せてなかったのに、そう言ってくれたのはすごいうれしかったですね。
井之脇 香取さんの声が素敵だったんです。スピーチの内容もそうですけど、それ以上に香取さんの体と声を通して出てくる言葉が、台本を読んだときよりも響くものがあって。僕のお芝居としても、裕次郎のスピーチを聞いてほろっと涙するところなんですけど、あそこは香取さんに泣かせてもらったという感覚でした。
――香取さんからご覧になって、井之脇さんのお芝居で素敵だなと思ったところはありますか。
香取 すごく自然なんですよね。すんなり耳に入ってくる声色というか。でもそれって実は繊細に考えられているのかなと思うところでもあって。あんまり表には出さないけど、声の出し方とか出発点とかをすごく気にしているんだなというのが感じられて面白かったです。
井之脇 本当ですか。ありがとうございます。
香取 ありますか、そんな感じは。
井之脇 確かにめちゃくちゃ考える方だとは思います。ただ、あんまりトゥーマッチにはやりたくないと思っていて。考えた上で、共演の方といろいろ現場でセッションできたらというのを大事にしているので、そう言っていただけてうれしいです。
――お互いお芝居のスタンスは似ているところはありそうですか。
香取 どっちかといえば似てるかな。僕も考えていないふうにして、ちょっと考えてるみたいなところがあるから。考えてるのが目に見えるタイプの人も多いけど、僕はそうじゃなく、スラッと自然な感じなんだけど、実は自分の頭の中ですごい会話してたりするところはあるかもしれない。
井之脇 僕が言うのもおこがましいですけど、香取さんは徹底して地に足がついてる感じが隣で芝居を一緒にしていて感じられたんですね。香取さんと裕次郎って絶対似てないんですけど、どこかで繋がってるような気がする瞬間がたくさんあって。
それはきっと香取さんが裕次郎として生きていたからだと思うんです。香取さんが裕次郎として生きてくださったおかげで、僕もそのまま反応することができたかなと思います。