禁断の「ホワイトベリー」と呼びたい

最後に「ホワイトベリー(270円)」を紹介する。

【市東製作所】これが禁断の「ホワイトベリー」

ホワイトチョコレート、ブルーベリー、ラズベリーをライ麦パンに練り込んだものを焼き上げているそうだ。

店の片隅で「ホワイトベリー」を撮影した。その後半分に割って撮った。

右手にもった「ホワイトベリー」から甘酸っぱくて、ふくよかな香りが立ち上っていた。「はやく食べて」といわんばかりに。誘惑にかてず、口にはこんでしまった。

ホワイトチョコレートの甘味、ブルーベリーとラズベリーの酸味が舌に心地よかった。

「甘味と酸味があっておいしいでしょ?」

「はい、めちゃくちゃうまかったです」

取材の現場でパンを食べたのは今回が初めて。取材中、撮影商品を食べるなど取材者にあるまじき行為だと思っていたからだ。それを破ってしまった。いや、パンに破らされた。禁断の「ホワイトベリー」と呼びたい。

パン好きの間では「市東シェフはハード系のパンが得意だ」と思われている。

【市東製作所】「ホットドック」、「カレーパン」、「焼きそばぱん」のようなパン屋の定番も

けれど、コッペパン(?)を使った「焼きそばぱん」もうまそうだった。ソースで味付けした焼きそばが地味な色ながら輝いていた。取材中、「焼きそばぱん」を買ってかえった客もいた。

街のパン屋の定番的なパンも市東シェフの手にかかれば、凛として美しく輝くのかもしれない。

【市東製作所】この看板と木製のベンチが『市東製作所』の目印

【市東製作所】販売情報(2024年2月更新)

現在店舗を持たず、通販で全国へパンをお届けしています。

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。