不登校の『原因探し』が及ぼす悪循環とは?
子どもが「学校に行きたくない」「学校に行けない」という状態に陥ったら、何が原因かをはっきりさせると(勉強についていけない、友達に意地悪された、クラスに馴染めない、など)解決法が見えてくる気がします。
なぜ原因探しが良くないのでしょうか?
桒原氏「実際にカウンセリングを通して子どもたちの様子を見ていると、『不登校の原因』とされるものを探し出したら学校に行くようになったかというと、そうではないのです。
冷静に考えてみると、学校に行っている子は学校が嫌な理由はまったくなく、学校を休んでいる子は学校が嫌な理由を抱えている、ということではありませんよね。
登校している子の中にも、学校が嫌な理由を持っている子も当然多くいるでしょう。
また一方で、学校を休んでいる子が、どうしても学校が嫌な理由を必ず抱えているわけでもありません。
例えば、子どもが学校に行きたくない理由を「友達に意地悪されたから」もしくは「クラスに馴染めないから」だと言ったとします。
この場合、じゃあクラス替えをしたら不登校が解決するか、というと、そうではありません。
一旦は学校に行くことができても、またすぐ別の理由で「学校に行きたくない」と言い出すケースはとても多いのです。
不登校は悩みをゼロにしたら解決するというものではなく、『悩みと上手に向き合っていく力』を養っていくことが大切になってきます。
また、原因を探すことに集中しすぎると、いろんなことが不登校の原因に思えてきます。
「うちの子は内気で人見知りだから…」
「完璧主義で協調性がないから…」
そして、これらの不登校の原因と思えるものを、子どもから取り除こうとします。
しかし、これら子どもの短所のように見えることは、実は大きな「強み」になり得るものなのです。
「内気で人見知り」は、思慮深くて、じっくり考える力があるということかもしれません。
「完璧主義で協調性がない」は、物事を完璧にこなせる、他人とは違う能力を持つ証ということかもしれません。
原因を追求し、それを取り除こうとすることは、子どもの長所を否定することになります。
悩みと上手に付き合っていくためには、自分に自信を持つことも大切なポイントです。
長所を否定されてしまうと、子どもはますます社会生活に、そして家庭生活にも生きにくさを感じるようになります。
家族関係をより悪化させてしまうことも少なくありません」