不安のまま飛び込んでみるというのも大事
――20代最後の年にこのような作品に取り組めたことは今後の自信となりそうでしょうか。
自分の中で、お芝居をしているときだけはジャニーズっぽくない人間になりたいって想いがあるんです。やっぱりいい意味でも、悪い意味でもバイアスがかかる職業だとは思っているので。だからこそ、そうではない部分もしっかり見せていきたいと常日頃から思っているんです。
そんな中で、そういう自分がモットーとかポリシーとしているところとドンピシャな作品が来て、「これはやるっきゃない」ってことだったので、タイミングが良かったのだと思います。運が良かったなって思います。
試写を観た時、これまでにない初めての感覚があったんです。いつも自分の作品を観るときは、どうしても自分のお芝居の修正点や反省点ばかりを見てしまうんです。「ここはもうちょっとこうしておけば良かった」とか、後悔が多いんですけど、今回はそれをあまり感じなかったのが新しい感覚でした。客観的に観ることができたんです。
それだけのめり込める作品になっていたというのもあると思うのですが、やれて良かったという達成感を持てました。
まだ公開前で、多くの方に観ていただいたわけではないので完全な自信があるわけではないですけど、すごく面白いものがつくれたんじゃないかとは思っています。
それをなかなかこういうジャンルの映画がない、日本映画で作ることができたので、これを今度は海外に持っていったとき、どんな反応があるんだろう?という楽しみもあります。
20代最後というのはあまり意識していなかったですけど、まだ成長過程の年齢のうちにこういうことにチャレンジできたことは、この先の自信につながるんじゃないかとは思っています。
――チャレンジ精神を大切にされているのですね。
怖いですけどね。最初は何をやるにしても怖いですけど、そんなふうに怖いと思ったまま飛び込んでしまった方がその場でできるものもあったりするので。
役作りっていろんなパターンがありますけど、不安だからやるところもあると思うんです。もちろん必要とされていることが事前にわかっているからやるというのもあるけど。
だから時には固め過ぎないで感情のままに動いてみるというのも大事だなって思うんです。そうすることで、今回で言えば、実際にリアルなセットを目にして、そのときの自分としてのめり込める。これが事前にリアクションを作ってしまうことで、出せなくなることもあるので。
――中島さん自身が不安を抱えていた時期はありますか。
高校生くらいのときは気分としてはどん底でした(笑)。小学生の頃はずっと一緒にいる友達も多かったけど、中、高と進むうちに減っていって。高校は芸能コースだったので、同じような感覚を持っている人が多いかなって思ったけど、意外とそうでもなくて、人付き合いの難しさを感じるようにもなって。
そんな中で、グループの中でも自分の立ち位置が見つからないとか、いろんなことを悩んですごく不安でした。
高校1年生のとき、皆勤賞を取ったんですけど、それって裏を返せばそのぐらい仕事が暇だったんです。嫉妬とか、僻みとかの感情は、その頃に芽生えたんだと思います(笑)。
結果的にその時は自分が変わる方が早いって思えて、変えてみるということをしたんです。この話とどうつながるかはわからないですけど(笑)、不安のまま飛び込んでもどうにかなるっていう気持ちはありますね。
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心身共に大変な撮影だったと振り返った中島さん。ただインタビュー中は笑顔の場面が多く、本作の撮影を乗り越えた充実感のようなものが伝わってきました。
ほぼマンホールの中だけで繰り広げられるという独特なシチュエーションの映画ですが、ぜひ、映画館で、中島さんと一緒にマンホールに落ちた感覚で楽しんでみてください。
作品紹介
映画『#マンホール』
2023年2月10日(金)全国ロードショー