「年金は増えない」と考えよう!その理由と今後のリスク
将来のおおよその年金額を確認したとしても、その金額が確実に受け取れるわけではないことは、なんとなく理解していると思いますが、改めてその理由についてお話しします。
昔は物価が上がれば年金額も上がる「物価スライド」でしたが、今の年金制度では物価が上がっても賃金が物価を下回る場合には、賃金に合わせて年金額が下がるようになっています。
令和3年4月から施行されており、令和4年には0.4%の引き下げになりました。 令和5年には2.2%の引き上げになりましたが、実はこの上昇時には調整率がかかっており、0.6%引かれています。(名目賃金変動率2.8%から0.6%を引いて2.2%であった)※上記令和4年と5年の改定率は新規裁定者の数字
つまり、調整率がかかるため上昇分がそのまま反映されず、物価より賃金の上昇が追い付かない場合は年金額が下がり続けます。年金額は上がりにくく下がりやすくなっているのです。
そして今後は、日本の高齢者人口が最大になる「2040年問題」が控えています。年金保険料を支払う人よりも年金を受給する人が多いことも考えると、年金額は増えにくいと推測せざるを得ないのです。
老後に必要になるお金の内訳
年金制度についてマイナスな話ばかりだとうんざりするかもしれませんが、年金は老後の生活の基盤になることを忘れてはいけません。
老齢年金という保障があるからこそ、自分で補う金額がある程度わかってくるものです。
老後は年金制度に完全に頼るのではなく、不足する分を考えて計画を立てましょう。ここからは、老後に必要となる可能性の高いお金の内訳をみていきます。
生活費
総務省の統計によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の毎月の平均生活費は約25.5万円に対して、収入は約23.6万円になり毎月約1.8万円の赤字になっています。
この結果を踏まえて、生活費の赤字分の準備が必要ということは言うまでもありません。
毎月の生活費がどれくらいあったら、ゆとりのある生活ができるのか考え、不足分が合計でいくらになるのか調べておきましょう。
医療費
年齢を重ねれば医療が必要になります。大きな病気をしていなくても、さまざまな理由で医療費や薬代がかかります。
医療費の必要額は個人差が大きく、一概にいくら必要とは言えませんが、社会保障費の膨らみをみても、将来的に自己負担割合が小さくなる可能性は低いといえるでしょう。
民間の医療保険の加入内容なども把握しながら、医療費の準備も念頭におきましょう。
介護費
公益財団法人生命保険文化センター「2021年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護費は毎月約83,000円で、在宅介護になると月額約48,000円です。
介護には介護保険が使えるため、すべてを自己負担する必要はありませんが、それでも負担が大きい金額ではないでしょうか。介護が必要な期間は長くなることもあるため、多めに準備をするに越したことはありません。
住まい
老後の住まいは、生活を支えるうえでとても大切なことです。賃貸のままか持ち家によって大きく資金計画が変わってきます。
賃貸のままなら毎月の家賃分を生活費に入れること、持ち家の場合はリフォームが必要になるかどうかです。
持ち家で、家の中で気になる箇所がある場合は、早めに資金を準備しリフォーム計画をたてておきましょう。