六本木でワンナイトみたいなことは全くないです(笑)

撮影/小嶋文子

――最初に原作・脚本を読んだときはどう思いましたか。

僕は“アラクオ”“アラウンドクォーター”という言葉自体、原作を読むまでは知らなかったので、25歳ぐらいの人たちがこんな悩みやコンプレックスを抱えていることも初めて知りました。

結構、衝撃的なことも多くて、特に脚本を読んだときにそういうふうに感じました。僕が知らなかっただけで“アラクオ”世代の方々には共感してもらえることが多いんだろうと思います。

原作は、僕はあまり漫画を読まないんですけど、本当に1日で読み終えてしまったくらいスラスラと入ってきました。原作の康祐はうまく世間を渡っていて、女の子にも親しみを持たれていて、人生が楽しそうだなと。もし自分が今の仕事をしていなかったら、理想的だと感じるような人物でした。

すでに5巻で完結してしまっているんですけど、他のキャラクターも魅力的で、その先も見てみたいと思うようなお話でした。

――大樹さんは現在28歳ですが、“アラクオ”を経験してみてどうでしたか。

自分が経験した25歳とは真逆の25歳を演じたので、自分じゃない誰かを演じるのは楽しいなと改めて思いました。

共感できない部分もありましたけど、そこは監督と何度も話し合いながら作っていきました。康祐ってものすごく生きづらい生き方をしている人で、人前にいるときはもう一人の自分を演じているから、すごく疲れるだろうなと思ったし、正直、撮影をしていて疲れることも多かったです。

けどそういう経験を28歳になった今できているのは、芝居の経験としても、僕自身の人生経験としても将来の糧になるだろうなと思いました。身体を張ったシーンもたくさんあったので、撮影が終わったときには達成感がありました。

――康祐とご自身が違うなと感じたところとは?

特にドラマ版の康祐は、先ほども少し言いましたけど、自分のコンプレックスや悩みを隠すためにメッキをつけているというか、仮面をつけながら生活しているようなところがあるんです。

僕も人前に立つときには“佐藤大樹”というものを演じているのかも知れないですけど、自分ではそういう意識はなくて、あくまでフラットに、等身大でいたいと思っていて。

だから、康祐が早苗や元カノのマキ(林田岬優)の前でメッキを張った状態でいてしまうのはまだわかるところもあるんですけど、男友達といるときもメッキを張っているのは……。本当に心を許して話せる人がいないんだと思ったので、そこは共感できないというか、気持ちを理解するのが大変でした。

親友とか、幼なじみとか、何も飾らずに話せる人っていると思うんです。僕だったらメンバーもそうですし、普段から人と接するのが好きで、仲間と居ることが多いので、その辺りは康祐とは違うと思います。

あとは初回のセリフでもあったんですけど、六本木でワンナイトみたいなことは全くないです(笑)。僕はEXILE TRIBEという男の集団の中で育ってきたので、飲み会でもシャンパンというよりはレモンサワーなので、そこも全然違いました。