霧の月映橋
霧に煙る月映橋(ウォリョンギョ)
夜、ほろ酔いで散歩するなら、安東ダムの近くにある月映橋という歩道橋がおすすめだ。
長さ387mの国内最長の歩道橋で、橋の真ん中に月影亭というあずまやがある。そこに座って風光を愛でる。
大きな川とダムをいだく安東は、霧がかかる日数が全国でもっとも多い地域だ。霧が立ち込めた月映橋の夜景は、まるで水墨画のよう。
霧のシーンが印象的だった映画『別れる決心』(パク・ヘイル主演、パク・チャヌク監督)を思い出す。
両班の古宅で美酒に酔う
聾巖宗宅(ノンアムジョンテク)で両班宅の銘酒「一葉扁舟」をいただく
安東には河回村(実際に人が住む民俗村)をはじめ伝統家屋の宿が多い。
私が泊った聾巖宗宅は1370年に建てられた韓屋だ。有名な陶山書院から洛東江を北上した川沿いにある。朝鮮王朝時代の文学者・聾巖李賢輔(1467~1555)が生まれ育ったところで、李賢輔没後もその子孫が現在まで暮らしている。
安東は「奉祭祀接賓客」(祭祀を行い、客をもてなす)という言葉を大事にしている街だ。韓国でもてなしといったら欠かせないのが酒。
聾巖宗宅には代々受け継がれる酒があり、宿泊客はそれを試飲することができる。
酒の名は「一葉扁舟」。川と山に囲まれたこの地にふさわしい命名だ。
宿のオンドルで昼間買ったタコを肴に乾杯する。熟成された酒からは桃や梨のような香りがして、そのあとの心地よい眠りが約束される。
聾巖宗宅の朝の風景
翌朝、背山臨水の地に建つ伝統家屋で目覚めると、二日酔いもなく快適だった。
一度、ソウルや釜山以外の地方を旅したいと思っている人は、ぜひ安東の韓屋ステイを候補にしてほしい。
関連記事