「合わなかったというか、子どもの気持ちが思わぬ方向に流れてしまったのが塾でした。
近所に昔からある有名な塾があり、早いところでは小学校の入学前から通わせると聞いていましたが、我が家では算数につまずきだした2年生のときに息子を入塾させました。
学校が終わって帰宅してからおやつを食べさせて連れていくのですが、そこで出会ったのが同じ学校に通う上級生たち。
塾なのだからみんな勉強熱心なのかなと思っていたら、そうではなく息子のように成績が悪くて親に通わされている感じの子も多くて、これは入ってみないとわからなかったですね。
塾の先生から『授業中は上の空で、休憩になると上級生たちのもとへ駆け出していく』『持ち込み禁止のゲーム機を持ってきている上級生たちと遊んでおり、授業が始まっても戻ってこない』と聞いた私と夫は、息子に『塾は勉強をしに行くところだよ』と繰り返し伝えました。
息子もそれは理解していても、学校では友達と一緒に遊べないゲーム機に触れる刺激のほうが強かったようです。
迎えに行った帰りの車内ではずっと『◯◯のゲームを買って』ばかり、家にゲーム機はあるけれどそれを塾に持っていくのは当然ながら禁止していて、その不満をぶつけられて大変でしたね。
そのうち塾用のバッグにこっそりとゲーム機を忍ばせるようになったので、考えた末に塾をやめました。
何のために通わせるのか、息子がこうなるとは思ってもみなかったのですが、やはり環境に大きく左右されるのが子どもなのだと痛感しましたね。
今は自宅で一緒に算数の復習に取り組んでいますが、うちの子には一対一でじっくり指導するスタイルのほうが集中できると気がつけたのでよかったです」(41歳/公務員)
禁止されているゲーム機を持ってきて遊ぶような子どもがいれば、そちらに気を取られるのも仕方のないときもあります。
苦手分野の克服のために通わせているのに、叶わないどころか悪い影響を受けるのでは本末転倒です。
親も子もストレスを感じるなら、潔く離れるのが尾を引かせないコツ。
子どもはどんなシチュエーションなら勉強が進むのかを見極めるのも、無駄な習い事を避ける秘訣といえますね。