たまたま出たものではなくて、すべて理由があってやられている

©「ワンルームエンジェル」製作委員会・MBS

――お互いのお芝居に対してここはいいなと思ったところはありましたか。

上杉:目のお芝居が本当に上手だなと思いました。顔に寄る画も多くて、目で細かい表現をしなくてはいけない場面がたくさんあったので。それを意識してやっていたかどうかはわかりませんけど、その目の動き一つだけで気持ちが伝わってきました。

あとちょっとしたコメディパートがあるんですけど、そこでの間の取り方はLil かんさいだけにさすがだなと。

西村:芸人としてですか(笑)。

上杉:(笑)。本当にいろんなことをやっていて、場数を踏んでいるだけはあるなと思いました。

――西村さんは目のお芝居は意識的にされていたのですか。

西村:僕は細かく頭を使えるタイプではないので、そのときに幸紀に対して出るものをやっていただけです(笑)。

僕が柊平くんをすごいなと思ったのは声の使い方です。微妙な表現をトーンとかで出していて。例えば、強くあるべきセリフも声量だけでコントロールするわけではなくて、気持ちの入れ方とかで変わって。

それがたまたま出たものではなくて、すべて理由があってやられているんだなと感じました。僕はそんなことが器用にできるタイプではないので、カッコいいなと思いました。

――撮影中に印象に残っていることは?

西村:一番は暑かった(笑)。

上杉:間違いないね(笑)。

西村:撮影はセットではなくて、実際のワンルームを使っていたんですけど、8畳くらいの場所にスタッフさんが10何人も入っていて、本当にサウナみたいでした。

上杉:そこに1日12時間くらいいたもんね、毎日。

西村:(撮影は)9月の初めのほうだったので、まだ外も暑かった時期なんですけど、外に出たほうが涼しく感じるくらいでした。蒸し暑くて仕方なかったです。常に環境との勝負でした(笑)。

上杉:あとは眠いと、セリフが覚えられない(笑)。

西村:時間がなかったので、全員が必死で、全力でした。

上杉:全員が本気でいいものを作ろうとしている姿は印象的でした。プロデューサーさんまで前線に来て手伝うとか、誰一人さぼっていない状況で、プロフェッショナルな仕事をしていました。その空気感は画を通しても感じられる気がします。

全員が1カット、1カット、いい画を撮るためにすごく頭を使っていて。それはどの現場でもそうだとは思うんですけど、今回は規模感がそこまで大きくなかったから、改めて「作品を作るってこういうことだよね」と感じられました。

監督は1シーン、1カット、1つのセリフ、間に対して求めているものがある方で、それを僕らも自分に落とし込みながらお芝居ができたのは良かったです。

その上で、僕らの方から「ここはこう思う」というようなことを言うと、それもちゃんと汲み取ってくださる柔軟性もあるので、お互いに意見をぶつけ合いながらできたのはありがたかったです。

西村:撮影期間中、現場にマネージャーさんが来たときに、「えらい伸び伸びやらせてもらっているんですね」って言われたんですけど、僕はそれくらい楽しく過ごさせてもらいました。それは現場の皆さんがそういう環境にしてくださったんだと思います。