ちゃんと地に足のついたしっかりした大人でした
――撮影をする中で気づいたお互いの一面は?
西村:とてもストイックで完璧な方なんですけど、出会って2日目くらいに「セリフが覚えられない~」って言って寝転んでいたのは意外でした(笑)。そういう一面もあるんだと。
現場では僕が一番年下だったので、「足を引っ張れないな」っていう想いもあってプレッシャーも感じていたんです。でも柊平くんのそんな姿を見て、少し気が楽になったというか、そんなに焦らなくていいんだなと思うことができました。
上杉:っていう気遣いだから(笑)。本当は全部覚えているのに、「俺も覚えてないからいいんだよ」っていう。
西村:いや、ホントにちょっと覚えてないんですよ(笑)。
上杉:あははは(笑)。語尾がちょっと違うとかね。西村くんはビジュアルとか、普段はアイドルとして活動していることとかからもっとファンタジーな人なのかなと思っていたけど、ちゃんと地に足のついたしっかりした大人でした。
置かれている環境を考えるともっと世間とかけ離れてしまっていてもおかしくないんだけど、社会性とか、世間との整合性とかをちゃんと持ち合わせていて、その上で自分の仕事を理解しているのはすごいと思いました。
(撮影期間の)中盤から終盤にかけていろいろな話をしていくうちに、「俺もそうだったぞ」とか「俺と一緒のところあるぞ」みたいなことが結構あって。
環境的に日常生活で自由にできないこともあるだろうし、僕にはなかった悩みもたくさんあると思うけど、それも踏まえた上でこの活動をしているのはすごいなと。僕が同じ年齢の頃は、まだこの仕事もしていなかったですし、こんなにしっかりしてなかったよなって。
――お互いに影響を受けたものはありますか。
上杉:現場で明るいこと。
西村:(上杉を見て)見習おうと? 無理ですよ。僕、本当に元気ですから(笑)。
上杉:(無理やりに)見習おうかと思います(笑)。けど、本当にすごくいい部分だなと思います。
――西村さんは明るくいようと意識しているのですか。
西村:しないといけないとは思っていないです。素直に生きているだけです(笑)。それが楽しいからこうなっているだけで、僕もずっと元気なわけではないですから。僕がこんな風に居られる環境を現場の皆さんが作ってくださったんです。
僕が柊平くんから受けた影響は、僕はわりと人から言われたことはAもBもいいねって言ってしまうタイプなんですけど、柊平くんは監督さんからもらった意見に対して明確な返答をしていて、そこはすごいなと感じました。僕も考えていないわけじゃないので、そういうところはしっかり出してもいいんだなって思えました。
――上杉さんはそこを意識的にやっていらっしゃるのですか。
上杉:自分の考えは伝えますね。それは自分の意見を採用してほしいからではなくて、作品を良くするためにどちらがいいんでしょうね?と提案する形です。脚本や原作は読む人によって解釈が違ったりするから、そこのすり合わせをします。
そうした結果、また別の新しい解釈が生まれることもありますし、わがままを言うのではなく、作品のために意見を言うことはあります。