「ドームの夢は叶える。でもみんなの近くにずっといます」

M!LK 1st ARENA「HAPPY! HAPPY! HAPPY!」10月22日(日) 横浜アリーナ

幕間の映像を挟んで次のブロックでは、会場後方から真っ赤な衣装のメンバーが登場し、「コーヒーが飲めません」、間髪入れずに「テルネロファイター」を届けていく。み!るきーずのコールも振りも完璧だ。さらに「シアワシェイク」とテンションが高い楽曲が続く。

「まだまだみんな盛り上げられるよね?」と塩﨑が呼びかけ、「Say Yeah」になだれこむ。軽妙なステップに、み!るきーずも激しくペンライトを振る。そして佐野と塩﨑のリードで声を出していく。所狭しと5人がアリーナを走り回っているからだろうか。アリーナがだんだん小さく見えてくる。

そして、楽しい時間はあっという間だ。「リハのときも楽しかったけど、比べ物にならないぐらい幸せ」と吉田が言ったように、その溢れんばかりの感情がメンバーの表情から伝わってくる。「終盤に向かっていくの、いやだな」と塩﨑がぽつりと言ったが、横浜アリーナにいた人たち全員の共通の想いだったかもしれない。

山中柔太朗 M!LK 1st ARENA「HAPPY! HAPPY! HAPPY!」10月22日(日) 横浜アリーナ

「横浜アリーナが決まってから本当に楽しみにしていた、ずっと」と吉田。

「発表してからずっとこの1日のためたけに費やしてきたと言っても過言じゃなくて。初めてのアリーナって一回しかないから。みんなでがんばってここまでこれたな、って感じます。この横浜アリーナに今僕たちが立てているのも僕たちをサポートしてくれたスタッフさんや、本当にたくさんの人が支えてくれることも、5人で活動できることも、みなさんが応援してくれてることも、一個も当たり前のことなんてなくて、それをこの公演を通じて痛感した」と感謝の気持ちを伝えた。

そして、次の曲について「僕たちのことをずっと近くで見てきた同期というか、友達が僕たちに託してくれた曲」と紹介。「僕たち自身が作詞してもこんなことは書けないだろうな、っていうぐらい今までの葛藤だったりとかあるけど、これからの希望だったりとか、そういうのを彼ら目線で書いてくれた曲があるのでそちらを聴いていただければと思います」と言い、披露したのはさくらしめじが提供した楽曲「コトノハ」。

吉田の言葉を受けて、5人の歌声、スクリーンに映し出される言葉たちを重ねると、グッとくるものがある。5人が向かい合って、輪になり、肩を組む光景は、きっと、この一瞬にしか見られないものだろう。

本編ラストを締めくくる楽曲は「Ai シャンデリア」。楽しそうに笑顔で歌う姿に自然と観ている側も笑顔になる。この空間がHAPPYなものだと何度も実感させてくれる。それもまたHAPPYだ。

M!LK 1st ARENA「HAPPY! HAPPY! HAPPY!」10月22日(日) 横浜アリーナ

笑顔でステージから帰っていったM!LK。しかし、すぐに会場からは大きな「もう一杯」のコールが。その声に応えて、アンコールはスタンド席から登場。トロッコでスタンドを一周しながら「ジブンエール」を。たとえ広い会場になったとしても全み!るきーずのそばに行こうという思いが伝わってくる。さらに「DEAR LIFE」と続き、会場全体で手を振り、大きな盛り上がりを見せた。

メインステージに戻ってくると、佐野は「楽しかったあ」と言い、リハーサルではトロッコを少し怖がっていた吉田も「超楽しい。みんな俺に手振ってくれる」とニコニコ。しかし、「アンコールきたってことはもう終わるってこと?けっこう寂しいかも」とシュンとする。「どこかに電話したら延長とかできない?」という言葉も飛び出した。

が、最後の曲は来てしまう。佐野は「信じられないんですよね、未だにこの景色でやってるのが」と言い、改めてみ!るきーずに感謝を伝えた。

「歴史があると思うんです、自分たちで言うのもあれですけど。正直、本当にすごく大変でした、僕らは。本当に今でこそこんなに多くの方々がこの5人を認めてくれてついてきてくれてますけど、当時は元の5人がよかった、とか元の7人じゃないと応援したくないっていう声も多かったし。その中でこうやって横浜アリーナを満杯にできるのがすごく幸せでハッピーです」と率直な思いを伝えた。

「ドームツアーを目指してるって言ってるんですけど、昔から応援してる人は遠くなっちゃうじゃん、僕らが。今でも遠いな、と思ってる人はいると思う。僕たちはみんなと約束したドームツアーは叶えますし、でもみんなの近くにいつまでもいるっていうのは約束します。なのでこれからも僕たち5人の応援をどうかよろしくお願いします」。そして、「僕たちは5人で、気持ちは8人でドームツアー、叶えます」と最後の曲「Ribbon」をコール。

淡いピンクの光の中で言葉をひとつずつ大切にするかのように歌っていく。「み!るきーず、本当にありがとう!」と佐野が絶叫。最後はステージの端から端へと行き、ファンに感謝の気持ちを伝えた。

M!LK 1st ARENA「HAPPY! HAPPY! HAPPY!」10月22日(日) 横浜アリーナ

が、今日のM!LKはまだ終わらない。Wアンコールではバラエティコーナーを展開。花道があるので、ということで障害物競走をすることに。三輪車で走り、麻袋に入って飛び、パン食い競争をし、箱の中から引いた過去衣装にステージで生着替えし、そのままダッシュでゴールというガチの障害物競争を行った。ビリになった山中がゴムパッチンの罰ゲームを受け、「本当にこれで終わり!」と帰って行ったM!LK。1曲も歌わなかったWアンコールに、横浜アリーナに驚きと笑いがあふれた。

「今」のM!LKを届けたが、すでに彼らは次に向かって走り始めている。この日、結成記念日である11月24日から年間プロジェクト「BIG LOVE YEAR」の始動を発表。そして2024年春には全国4都市ツアー「M!LK CONCERT TOUR 2024 HERO」を開催する。まだまだ、HAPPYを届け続けてくれそうだ。

大阪府出身。大学卒業後、フリーランスのライターとして執筆活動を開始。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。たれ耳のうさぎと暮らしている。ライブと本があったら生きていける。