倫太郎を見ていると「何をするんだろう?」ってワクワクする

撮影/河井彩美

――共演を経て、お互いに刺激になったことはありますか。

岐洲:土岐としても、倫太郎としても刺激だらけでした(笑)。倫太郎はとてもお芝居が好きなので、表情も豊かだし、見ていて楽しいんです。それって素敵だなって。倫太郎を見ていると「何をするんだろう?」ってワクワクする。うらやましいなと思いました。

八村:本当に? ハードル上がっちゃいますね(照笑)。匠くんは、お芝居に対する考え方っていろいろあると思うんですけど、それが僕と似ていると思うんです。

本気で自分自身もそう思わないと、ナチュラルにセリフって出て来ないという話を2人でもしたんですけど、匠くんはそこをすごく大切にしていて。だからなかなかセリフが出てこないこともあって。

岐洲:迷惑かけちゃって(苦笑)。

八村:(首を振って否定しながら)僕は、そこを器用にやろうとしてしまう自分もいるんです。そこはあまり自分の好きではないところで。できないことに対してしっかりと向き合う姿勢を、匠くんの背中から教わりました。

それに、そういうときに相手役として助けたいなとも思いました。もし相手がこれを言いづらいのであれば、自分はどうできるかな?って。そういう想いや姿勢は、土岐の佐原に対するものともつながるところがあって、リアルな感情を持って演じることもできました。そのとき、「お芝居ってこうやって成り立っていくんだな、こういう成り立ち方が好きだな」って思いました。

2人でお芝居を作っていけたと感じて、僕はすごく楽しかったし、その日の夜はお風呂で2人で語ったよね。

岐洲:語ったね。お互いの目を褒め合ったもんね(笑)。

八村:今考えるとちょっと恥ずかしいですね(笑)。

岐洲:うん(笑)。2人だけのときで良かった。大浴場に一番乗りしたときだったから。

八村:僕が「あのときの匠くんの目、良かったですよ」って言って(笑)。

岐洲:「いやいや、お前の目も良かったよ。すごく真っ直ぐできれいな目してたじゃん」って(笑)。

撮影/河井彩美

――先ほどからお二人の仲の良さが伝わってくるのですが、すぐに今のような関係性になれたのですか。

八村:仲良くはなりましたけど、芝居を通して深まった部分は絶対的にあると思います。

岐洲:あとは地方で撮影をしていたので、僕らは森の中にあるログハウスみたいなところに宿泊をしていて。そこに堀こたつがあって、みんなで一緒に本読みをしたり、ゲームをして遊んだりもして。

八村:お芝居に向き合っていない時間帯にも、そうやってコミュニケーションを取っていたので、その関係値も出ていたと思います。

本当にスタッフさんも含めて、現場に素敵な方しかいなくて。一見すると芝居には関係ない部分だと思われますけど、そういうところも芝居に関わってくるんだなって。これからもそういう姿勢は大切にしたいと思いました。

撮影/河井彩美

――そんな中で、特に印象に残っているエピソードはありますか。

岐洲:ケータリングかな。

八村:美味しかった。あれは忘れられない。

岐洲:森の中なのですごく空気がきれいで、星もこんなにたくさん見たことないっていうくらい見える場所で食べたカレーライスとハヤシライスが、涙が出るくらい美味しかったです。たぶんごく普通のものなんですけど。

八村:いつもお弁当で、それも美味しかったんですけど、「今日はケータリングです」と聞いたときの俺たちの瞳の輝きはすごかったと思う(笑)。(藤堂拓也役の)百瀬拓実くんも一緒に、3人で「いただきます」って言って、感動を分かち合いました。

僕と拓実くんは写真を撮ったりもしていたんですけど、匠くんは「そんなのいい」って言って、「美味い!美味い!」ってがっついてました(笑)。

岐洲:マジで感動したもん(笑)。撮影も立て込んできていて、疲れもピークだったこともあり、一生忘れられない味になりました。

八村:その日は撮影が終わるのが少し早くて、まだ6、7時ぐらいだったから、「今日はパーティだ」って言って。

岐洲:スーパーでカレーに合うお惣菜も買い込んで。なぜか寿司も(笑)。それなのにみんなカレーをおかわりしていていたから、お腹がいっぱいなのに頑張って寿司まで食べて。

八村:食べ過ぎて眠くなっちゃって、そのあとにやった本読みは目をこすりながら(笑)。

岐洲:あのときの本読みが一番浅かったと思う(笑)。

八村:あとはホントに星がきれいでした。最近、しし座流星群が話題になっていましたけど、あの場所に帰って見たかったなって。絶対にキレイに見えるだろうなって思っていました。毎晩のように流れ星も見えて。僕は星を見るのが好きなので、それが救いにもなっていました。