「そう、愛なんです」

撮影/河井彩美

――佐原と土岐の恋模様についてはどのように感じていましたか。

八村:土岐と僕は似てるかもしれないです。僕も乙女心ありますし(笑)。あとは好きな気持ちはオープンになってしまうタイプだと思います。だからそれを素直に相手に伝えられる土岐は素敵だなと思います。

それに対して佐原は心がオープンになれない人で、過去の恋愛にしても、水泳への想いにしても、素直に向き合えないところがあって。それによって生じる心の揺らぎや、硬さを、素直な土岐がほどいてあげるという関係性はすごく素敵だなと感じました。

岐洲:めちゃくちゃ素敵な2人だと思います。ダメな自分に慣れてしまった佐原に対して、土岐がどんなものでも突き破るような真っ直ぐさでぶつかってきてくれて。そういう存在が自分の前にいたら、誰でも惹かれると思うし、土岐には好きになる理由が詰まっていると思います。その感じは愛だなって。

八村:そう、愛なんですよね。

岐洲:恋というよりも、さらに深いものを2人には感じました。絆とか、お互いへの思いやりとか、そういうものを全部まとめた塊みたいものが愛なんだって思います。

撮影/河井彩美

――もし土岐のようなアプローチをしてくる人が現れたら、心が動かされると思いますか。

岐洲:それはすごく思いますね。僕も好きという気持ちは素直に認められるんですけど、自分がその気持ちを持ってさえいればいいと思うほうで、相手に気持ちを伝えようとは思わないというか。

もし自分が佐原の立場だったとしたら、土岐が幸せでいてくれたらそれでいいと思ってしまうから。土岐のように自分の気持ちをぶつけてくれる人がいたら、好きという気持ちを抑えきれなくなると思います。

撮影/河井彩美

――最後に、本作の主題歌、WATWING「I donʼt care」についても伺いたいのですが、この曲は八村さんの作詞・作曲となります。いつ頃、どのような形で作ったのでしょうか。

八村:2023年の2月ごろだったと思うんですけど、以前から交流のあったプロデューサーのUTAさんと「一緒に曲を作りたいね」という話をして。そこから、僕が「こういう曲がやりたい」というイメージを伝えて、UTAさんがトラックを作ってくれて、そこにメロディを乗せてという感じでできていきました。

作詞に関しても、「自分から生まれたものでやってみたい」と思って書き始めて、ほぼ完成した状態であった曲なんです。メンバーや周りのスタッフの方々も「いいね」と言ってくれていて、いつか形にしたいと思っていたところ、今回、運命的に僕がこのドラマに出演させていただくことになって、この曲がドラマの内容にもハマると、ドラマ側のスタッフの方々も感じてくださって主題歌に起用していただきました。

主題歌に決まったことで完成させた曲ではあるんですけど、原型からほぼ変わっていないんです。だから本当に運命だったなと思っています。

――歌詞はどのような想いで書いたのですか。

八村:僕自身が自分の人生において、愛を感じる瞬間をもとに書きました。一度愛した人をもう愛せなくなることは辛いなと思って。それは恋人でも、友達でも、家族でも。一度自分が抱いた愛に対しては正直でいたいと思うんです。

今はもしかして距離があるかもしれないけど、「あれって何だったんだろう?」って思わなくていいし、そのときに抱いた感情は本物だったんだから、自分が好きだったことや、愛したことに対して素直に「良かったんだ」と肯定できる、そんな曲を作りたいと思って書きました。

それは僕が今回、土岐を演じるに当たって一番大切にしていた、「好きなことに正直であること」につながる想いだとも感じて、この曲を作ることができました。


本作が初共演とは思えないほど、インタビューでは仲の良いやり取りを見せてくださった岐洲さんと八村さん。写真撮影の最中も自然とお互いを見合って笑みがこぼれていて、終始、和やかな雰囲気でした。そんなお2人が口を揃えて「素敵だ」と言った、佐原先生と土岐くんの恋模様をぜひ見届けてください。

作品紹介

ドラマ『佐原先生と土岐くん』(全8話)
2023年11月30日より 毎週木曜 深夜1:29よりMBS、他にて放送
「TVer」「MBS動画イズム」で見逃し配信1週間あり