自分の信念のもとに行動をしているところは響と変わらない

撮影/小嶋文子

――加地はどんな人物だと捉えていましたか。

見方によって印象は変わると思うんですけど、彼には彼の信念があって、それに従って行動をしているんですよね。自分のことを慕ってくれている、家族とも言える地下の仲間たち、その人たちを守るために行なっていることなので、一概に悪人とは言えないと思っていました。

自分の信念のもとに行動をしているところは、響と変わらない部分もあると思います。僕なんかは風が吹いたらすぐにそっちに曲がるような、なよなよの信念で生きているので(笑)、ひとつ太いものを内に秘めている加地はカッコいいと感じました。こういう極限のサバイバル状態に生きている人なので、腹の括り方が違いますね。

――登場人物たちはそれぞれに譲れないものがあって、それに従って生きていいるから、善と悪というカテゴリーに簡単には分けられないですよね。

ただこの『きみセカ』の物語では、間宮響が主人公ですから、その目線から見ての善と悪はあると思っています。だけど加地が主人公で、なぜこのような地下の住人となったのかという物語が描かれていたとしたら、皆さんも加地に感情移入してくれるかもしれないです(笑)。

撮影/小嶋文子

――演じていて印象に残ったシーンは?

加地の出演シーンとしては最後になる場面で、「間宮響!」と叫んだ瞬間は印象に残っています。加地自身の信念を貫いて、ボロボロになりながらもその場まで来て、執念の一言というか。仲間を救いたいという、彼の必死さが感じられるシーンだったと思います。

あとは映画の冒頭に出て来る地下街のシーン。僕の撮影初日があのセットのシーンからだったんですけど、すごい世界観だなと。異世界に来たような、遊園地とかのアトラクションの中にいるかのような感覚で、テンションが上がりました。

©2024「君と世界が終わる日に」製作委員会
©2024「君と世界が終わる日に」製作委員会

――現場の雰囲気はどうでしたか。監督のコメントで「部活のような雰囲気だった」とも。

よく本番前に、涼真くんを中心してみんなで「ここはどうする?」「このほうがいい?」とかって話す、ディスカッションタイムみたいなのがあって。それが僕も部活の作戦会議みたいだなって思っていました(笑)。

みんな年齢も近かったし、汗だくになって、泥だらけになりながら、そうやって話していたりする姿は、周りから見てもそんなふうに感じられたのかなと思います。

撮影/小嶋文子

――竹内さんはどんな座長でしたか。

座長としての責任感を持って、この作品が良くなるために、みんなを引っ張ってくれていたのはもちろんなんですけど、とにかくすごく温かい人なんです。感覚的なことで言うと、普通の人より1.5度ぐらい体温が高い気がするというか。一緒の空間にいると、そのぐらいの温かみを感じる人でした。

いろんなタイプの座長がいますけど、今までで一番安心できる座長でした。正面から声をかけてもくれるし、背中でも見せてくれる、本当に頼りがいがありました。