すでに恋人や配偶者がいる人を好きになり、それでも手に入れたくて奪うことを考えるだけなら、よくあることかもしれません。

「もう幸せになっている」状態の人をこちらに向かせるのは並大抵の努力では難しく、極端な行動に出る自分を肯定するのがつらいときがあります。

忘れてはいけないのは「奪ったその後」のことで、満足するつながりになれるかどうか、努力は続きます。

「略奪愛」は本当に幸せになれるのか、ある女性のケースをご紹介します。

忘れられなかった人

由紀江さん(29歳)には、「どうしても忘れられなかった」と話す男性がいます。

同じ会社の別の部署で働く人で、業務の関係で知り合い仲良くなったそうです。

「同い年で、慣れない私に嫌な顔をせずいつも丁寧に教えてくれて、一緒に仕事をするのが毎日楽しみでした」

顔を合わせる時間が長いので個人的なことも打ち明けるようになり、いつの間にか彼を好きになっていた由紀江さんは、「彼女がいると知ったときはショックだったけれど」と振り返ります。

そこで恋愛関係を諦めて仕事仲間と割り切れたらよかったのですが、由紀江さんが彼との関係に希望を持ったのは、彼女との仲が上手くいっていないと知ったときでした。

「金曜日の夜、仕事帰りにふたりで飲もうって話になって、居酒屋に行きました。

そのときに、酔った彼が『別れたいけど向こうがしがみついてくる』って言い出して、彼女とはしばらく会っていないことなど話してくれました。

それで、『私を好きになってくれたら』と、つい思いましたね……」

そのとき、由紀江さんのなかでは「こんな話をしてくれるのだから、自分は彼にとって近い存在のはず」という期待がありました。

仕事仲間でプライベートな話も共有できる今のつながりを、由紀江さんは何とか恋愛関係に持っていけないか、考え始めます。