想像と真逆の現実

由紀江さんは、彼とのことを仲のいい友人に相談したとき、「それって略奪愛じゃん」と言われてびっくりしたそうです。

「でも、はたから見ればそうなんだよねって、まだ彼女と別れていない人を追いかけている自分を改めて見て思いました。

彼から好かれているような実感はないけど、このまま彼女とも別れるだろうなって、どこかで思い込んでいた気がします」

「私のことが嫌なら遠ざけるはず」と由紀江さんは思っていて、そうしない彼を見て、自分への好意があるのではと期待していたそうです。

「告白しようとは思わなかったのですか」と尋ねると、

「下手に好きだって言ってしまうと、彼のことだからまだ別れていなかったらごめんと謝るかもって思いました。

それで変な空気になるより、彼が別れた報告をくれたら告白しようと考えていましたね」

と、いつしか彼から「ひとりになった」と言ってくれることを待つようになります。

ですが、そんな彼からある日言われたのは、

「今週末は彼女と一泊の旅行に出かけてくる」

と、期待した現実とは真逆の言葉でした。

「LINEで言われたのですが、『え、何で』って、まず返してしまいました。

別れたいはずじゃなかったのって……」

男性からは「一応、仲直りした」とだけ返ってきたそうで、何があったのか由紀江さんは知らないまま、その日は男性とのやり取りは終わりました。