「奪ったその後」のこと

「彼のことは本当に諦めました」と話す由紀江さんは、それから3ヶ月がたった今も、男性とは仕事仲間としていい関係を崩さずに過ごしています。

ふたりで食事に行くことはなくなり、LINEでのやり取りも減って、彼女とどうなっているのかはわかりません。

それでも、気持ちを割り切って接することができているのは、由紀江さんのなかに新しい現実が浮かんだからです。

「いま思うと、これで彼が私を好きになってくれて付き合えたとしても、元カノとのことを私は引きずったかもしれません。

上手くいっていないことに便乗して振り向かせても、つい最近まで一緒にいた人なら、私のようにちょっかいを出されたらまた彼はそっちを向くんじゃないかって、疑っていたと思います」

たとえ交際が順調でなくても、元カノは自分よりずっと近い距離で彼のそばにいた人です。

別れてすぐに自分という新しい彼女を手に入れたとしても、この「間が空かない」ことが、元カノの存在感を薄くしないのではないかと、由紀江さんは考えています。

「逆の立場になったら、由紀江さんはどうですか」と質問すると、少し口ごもった後で

「新しい彼と喧嘩をしたときとか、元彼を思い出すかも知れませんね。

まだ別れて間もなかったら、連絡する勢いもあるし」

と、ぽつんとつぶやきました。