とはいえ、忍ミュの面白さはギャグだけではない。四年生と六年生の間に亀裂が入り、四年生が行方不明になるあたりから、物語は少しずつシリアスな雰囲気を帯びていく。四年生をスカウトした人物がおり、さらに忍術学園にとっておなじみの敵役であるドクタケ忍者隊も登場。不穏な空気の中、暗躍するもう一つの勢力が見え隠れしてくる。
 

 
 

ストーリー自体は起承転結がしっかりしていて、登場人数が多いわりにスッと理解できるのが良い。びっくりするようなどんでん返しがあるわけではないのだけど、しっかり笑わせてくれて、ハラハラさせられる場面もあり、最後にはちょっといい話でホロッとさせられる。再演というだけあって、きっとあちこちがブラッシュアップされたのだろう。完成度の高い舞台である。

 

 
 
 

何より感心したのは、アクションだ。忍者ならではのアクロバティックな動きや、様々な得物を使ったアクションが頻繁に登場し、筆者の目を楽しませてくれた。忍ミュは、およそ舞台上でできることはすべて盛り込まれた、まさにザ・エンターテインメントだ。

ゲネプロ公演後には役者陣への囲み取材が行われ、それぞれが今回の公演に対する意気込みを語っていた。全員が共通して口にしていたのは、「再演だけど、まったく新しい舞台を作るつもりでがんばります」ということだ。

冒頭にも少し触れた通り、今回の舞台は今年の初めに行われた公演の再演。だが、根幹となるストーリーの流れは踏襲しながらも、脚本や演出などは大きく変わっており、さらに磨きがかかったものになっている。

懐かしさと新鮮さでとても楽しい舞台だった。

ミュージカル「忍たま乱太郎」は7月6日までシアターGロッソにて公演中。

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ