6:生活が混乱しやすいタイプ〜ADHDと疑似ADHD

近年、増加しているのが、遺伝型のADHDではなく、精神疾患や愛着障害から引き起こされている疑似ADHDというものです。

子どもの頃の不安定な養育環境が愛着障害を引き起こし、それがADHDに似た状態をもたらすことがあります。そうした要因がない人と比べると、ADHDを発症するリスクは数倍に達します

出典(マンガでわかる発達障害グレーゾーン)

思い切りよく大きな買い物をして何年もローンに縛られたり、間違ったパートナーを選んでしまい、不幸を背負ってしまうことも。

そうしたことを防ぐためには意思決定やプランニング能力を高めることです。これらの能力を高めるために科学的に効果が実証されているものにマインドフルネスがあり、瞑想なども有効です。

マインドフルネスは1番良い選択をするというよりも、最悪を避ける決断ができるようになるとされています。

7:動きがぎこちないタイプ〜発達性協調運動障害

発達性協調運動障害(DCD)とは、年齢から期待されるよりも、左右の手足を組み合わせて行う協調運動の進歩が遅いこと。小学校の1クラスに2〜3人ぐらいの割合で見られます。
ASDやADHDでも運動の不器用さを伴っていることが多いことから、協調運動は、単なる器用さだけでなく、社会性の能力やスキルにも関係していることが指摘されています。

DCDは、早い段階から発達の課題に気づく大きなサインです。発達の課題を改善していく手がかりとなり、バロメーターともなるということです。トレーニングの機会を増やすことで、克服されるだけでなく、社会的なスキルの改善につながることも期待できます

出典(マンガでわかる発達障害グレーゾーン)

球技や体操、水泳などは協調運動の改善に有効ですし、ピアノは左右の脳の統合を促します。

8:勉強が苦手なタイプ〜学習障害と境界知能

グレーゾーンでよく見られる学習障害と境界知能。知的障害に早期に気づいて、支援が受けられれば、障害があっても、その子のペースで発達していけます。

しかし、知的障害を抱えていることを発見されないまま、普通学級で無理を強いられてしまったり、境界知能のケースが問題になりやすいといえます

出典(マンガでわかる発達障害グレーゾーン)

一方で学習障害では、座学はまったくダメでも、実技の授業はピカイチというように、言語理解やワーキングメモリが低く、逆に処理速度が早いというパターンを示しやすいです。

この場合は本人の特性に合った技能や職業に出会えたら、社会に出てから活躍するケースも多いもの。

ワーキングメモリは様々な方法で鍛えることができます。百マス計算など単純な計算を繰り返すことから始め、文章の暗唱や聞き取りながら書き取るディクテーション、聞き取った文章を繰り返すリピーティングも効果的です。

「子どものグレーゾーンは様子見してはいけません」と岡田先生。

今の困りごとが将来のどんな問題につながるのか。軽度の課題であっても、できるだけ早くから療育やトレーニングを行うことが重要です。それによって社会生活の困り感が全く違うものになっていきます。

監修:岡田尊司
精神科医、作家。医学博士。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒。京都大学大学院医学研究科修了。長年、京都医療少年院に勤務した後、岡田クリニック開業。現在、岡田クリニック院長。日本心理教育センター顧問。『愛着障害』(光文社)、『母という病』(ポプラ社)、『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』『発達障害「グレーゾーン」生き方レッスン』(ともにSBクリエイティブ)など著書多数。

漫画:松本耳子
大阪芸術大学美術学科卒業。1998年、大学在学中に漫画家デビュー。漫画雑誌の連載や実話系4コマなどで活躍しつつ、毒親に育てられた壮絶な経験を明るく描いたコミックエッセイも執筆。著書に『毒親育ち』(扶桑社)、『毒親こじらせ家族』(竹書房)、『マンガでわかる愛着障害』『マンガでわかるパーソナリティ障害』(以上、岡田尊司[監修]、光文社)などがある。自身がグレーゾーンで、1男1女の母。

美容ライター。美容誌の編集を経て、ビューティ&ヘルス、フード、ファッション、ナチュラルライフなどについて執筆。美容ブログ『SimpleBeauty』でもコスメ情報を更新中。WebメディアのほかHP、紙媒体も手掛けています。