「疲れると、どうしてもチョコレートに手が伸びてしまう」、「食後のデザートがないと、なんだか物足りなくて落ち着かない」「『今日だけ』と思って食べたのに、結局また明日も食べてしまう」。
甘いものが好き、という気持ちは自然なことですが、「わかっているけど、やめられない」「食べ過ぎて罪悪感を感じる」「甘いものを食べないとイライラする」そんな風に、甘いものへの強い欲求に振り回されて悩んでいませんか?
「意志が弱いから」と自分を責めてしまう方もいるかもしれません。でも、その止められない甘いものへの渇望は、あなたのからだや心が発しているSOSサインの可能性もあります。
この記事では、なぜ甘いものを強く欲してしまうのか、そのメカニズムをからだと心の両面から、紐解いていきます。さらに、甘いものへの欲求と上手に付き合っていくための具体的なセルフケア(食事や生活習慣の工夫)もご紹介します。
なぜ甘いものを強く欲してしまうの?
甘いものを「おいしい」と感じ、ときに強く求めてしまうのには、いくつかの理由があります。それは、からだや脳の仕組み、そして心の状態と深く関わっています。
1.エネルギー源を本能的に欲している
甘いものの主成分である糖質は、からだにとって最も手軽で吸収されやすいエネルギー源です。とくに脳は、通常ブドウ糖を主なエネルギー源として活動しています。そのため、からだが疲れているときや、頭をたくさん使った後、あるいは単純におなかが空いているときには、からだや脳が「すぐにエネルギーを補給したい!」と信号を送り、即効性のあるエネルギー源である甘いものを本能的に欲するのです。これは、ある意味、私たちが生きていくために備わった自然なメカニズムといえます。
2.脳が喜ぶ「快感」を記憶している
甘いものを食べると、脳の中では「ドーパミン」という神経伝達物質が放出されます。ドーパミンは「快感ホルモン」とも呼ばれ、私たちに幸福感や満足感をもたらします。この心地よい感覚を脳は「よいことだ」と強く記憶します。
この経験が繰り返されると、脳は「またあの快感を味わいたい」と学習し、気分を高揚させたり、ストレスを和らげたりするために、甘いものを求めるようになります。これが習慣化すると、「甘いものを食べないと落ち着かない」といった依存的な状態につながることもあります。
3.血糖値の急上昇と急降下
私たちが食事をすると血糖値が上がりますが、とくに白砂糖を多く含むお菓子やジュース、精製された炭水化物(白いパンや白米など)を空腹時に単品で食べると、血糖値が急激に上昇します。すると、からだは血糖値を下げるためにインスリンというホルモンを大量に分泌し、その結果、今度は血糖値が急降下してしまうことがあります。血糖値が急激に下がると、からだは再びエネルギー不足を感じ、「すぐに血糖値を上げなければ!」と判断して、手っ取り早く血糖値を上げられる甘いものを強く欲するようになります。こうして、「甘いものを食べる→血糖値急上昇→インスリン大量分泌→血糖値急降下→また甘いものが欲しくなる」という悪循環に陥ってしまうのです。
4.ストレスや感情
現代社会で避けて通れないのがストレスです。ストレスを感じると、からだは対抗するために「コルチゾール」というストレスホルモンを分泌します。このコルチゾールには、食欲を増進させ、とくに高カロリーで手軽にエネルギーになる食べもの(甘いものや脂っこいもの)への欲求を高める作用があることが知られています。
また、私たちは不安、悲しみ、怒り、退屈、寂しさといったネガティブな感情を抱えたとき、そのつらい気持ちを一時的に紛らわすために、甘いものを「心のよりどころ」として求めてしまうことがあります。甘いものを食べることで得られる一時的な幸福感や満足感が、まるで感情の穴を埋めてくれるかのように感じられるためです。これは「エモーショナル・イーティング」とも呼ばれます。
5.睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
意外に思われるかもしれませんが、睡眠不足も甘いものへの欲求を高める一因です。睡眠が不足すると、食欲を抑えるホルモンである「レプチン」の分泌が減少し、逆に食欲を高めるホルモンである「グレリン」の分泌が増加します。このホルモンバランスの乱れによって、満腹感を得にくくなり、とくに高カロリーなものや甘いものへの欲求が強くなることがわかっています。
























