©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

体が入れ替わったまま戻れない男女の切ない15年を描く物語、映画『君の顔では泣けない』が11月14日(金)より全国公開となりました。

髙橋海人(King & Prince)さんは高校生のときに坂平陸(芳根京子)と入れ替わってしまった水村まなみ役を演じています。

水村まなみとして生きてきた15年があり、その先に、坂平陸の体を借りて生きてきた水村まなみの15年があるという複雑な心情と向き合うのは難しかったと振り返る髙橋さん。演じながら感じていたことや、この物語を通して感じた自分自身のことなどを語ってくれました。

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入れ替わりを演じるってすごく難しい

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――これまでも「入れ替わり」を扱った物語は描かれてきましたが、15年もの間、入れ替わったままという二人の物語についてはどんな印象を持ちましたか。

確かにそのパターンは考えたことなかったな、と思いました。これまでの入れ替わる物語って、登場人物たちがいつか戻る未来に向かって行動するし、いつか戻れるつもりでいるのが普通だったから、15年間も戻れないというのは、「そっか、言われてみればそのパターンもあるのか」という印象でした。

入れ替わったままで何年も過ごしていくとなると、すごい人生になりますよね。考えなくてはいけないことも多いですし。よく映画やドラマの中で描かれる期間って、数か月とか、1年ぐらいが多いですけど、それに比べてただでさえ長い15年間という期間にさらに「入れ替わった」という要素が加わるので、それだけその役に対する重みや責任感、任されている感覚を重く受け止めました。ギアを思い切り入れて演じなくてはいけないな、大変な作品が来たなと思いました。

僕が演じるのは15年のうちの21歳からの約10年間でしたけど、この時期の15年を過ごすとなったら、人生で起きるイベントの3分の2ぐらいは経験できちゃうんじゃないかって。受験、卒業、恋愛、就職、結婚とかって考えると盛りだくさんだなと。

例えば、恋愛だったらお付き合いをしてから結婚に至るまでとかで、イベントとしては1、2個を切り取った作品も多いですが、今作はそのイベントの数がすごく多いから、まなみはどういう人生を過ごしてきたのだろう?と自分の中で考える時間もそれに合わせてすごく多くなりました。

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――入れ替わる役の難しさはどのような部分で感じましたか。

入れ替わらない15年なら、気持ち的に自分と重ねられる部分があるというか、喜怒哀楽や感情の起伏は人それぞれですが、こういう時はこういう感情になるというのは、近しいものがあるじゃないですか。

でも、まなみの場合はそこに、陸から借りている人生という、一つ乗っかってくるものがある。だから、普通は嬉しいはずのことが、ただ嬉しいだけではなくて、申し訳ない気持ちとか、ちょっと切ない気持ちとかも出てくる。ときには「何でだよ!」って怒る気持ちとか。一つひとつの出来事に対して動く感情が自分とは重ならないことが多いから、入れ替わりを演じるってすごく難しいことだなと思っていました。

台本には「逡巡する」とか、ある程度、そのときに感じている気持ちが書いてはあるんですけど、その感情の中の何パーセントがこういう想いでとかまでは書いていないし、一つの出来事に対して沸き上がる感情が一つではないからこそ、自分の中で要素を足していくことが必要でした。