「腸内フローラ」という言葉を聞いたことがありますか?

小腸の終わりから大腸にかけて、約100種類100兆個もの腸内菌が種類ごとにまとまって生息しています。その様子が、まるできれいに整備されたお花畑のようだということで「腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)」と呼ばれています。

腸内フローラを整えることで、ダイエットや美容・健康に大きく影響を及ぼすということは広く知られています。
科学雑誌「Nature(2006年12月21号)」でも、腸内フローラは宿主の肥満に関係していると発表されています。

でも、腸内フローラの働きはそれだけではありません。
そこで今回は、腸内フローラの未知なる可能性とその実態についてお話しましょう。

 腸は脳よりも「第1の脳」!?

腸は、脳の指令を介さず自律神経に支配され、生命の維持のために動きます。しかも、幸せホルモン等ホルモン物質の一部や免疫細胞も腸内で生成されますので、健康や精神にも大きく影響します。そのことから、腸は「第2の脳」とも呼ばれてきました。

2の脳から第1の脳へ昇格した理由

腸内環境は腸内フローラが支配しています。健康な腸の腸内フローラは、善玉菌が優勢の状態で、善玉菌と悪玉菌が一定の割合を保っています。この腸内フローラのバランスが崩れてしまうと、腸壁が腐敗して、きれいなピンク色から毒々しい色に変化していくのです。

こうなると、便秘になるだけでなく、排出されなかった毒素が血液に乗って全身に回って、あらゆる未病を引き起こします。さらに未病からガンや難病に発展するかもしれません。このように、寿命に関わるあらゆる疾患を引き起こしてしまう可能性もあるのです。

腸内フローラのバランスも、あまりにも悪玉菌が優勢になってしまうと、医学の力をもってしても回復が難しくなってしまいます。

そこで、腸内フローラのバランスを維持するための様々な研究が行われ、最も画期的な方法として最近取り沙汰されているのが、「糞便移植」です。

腸内細菌を花の種にみたてて、「枯れ果てた花畑を救うには、花の種から植え替えてしまおう」という発想から研究が進み、治療が難しいとされていた腸の病気も、投薬治療よりも圧倒的に治癒する可能性が高いことも判明しました。

20143月には、慶応義塾大病院で40代の潰瘍性大腸炎の患者に実際に行われました。

さらに最近の研究で、今まで脳が支配していると思われていた、性格や心の病までも腸内フローラが大きく影響していることがわかったのです。

これが、腸が「第2の脳」から「第1の脳」へと昇格した所以でもあります。