お値段1万円!「極味弁当」のお味は? いよいよ実食

さて。
最後に、滅多にありつけない弁当を紹介しようと思う。ハンバーグに、サーロインとシャトーブリアンのステーキが載った「極味弁当」である。なんと1万円。

これまで高級弁当を食べる機会が何回かあった気がする。が、1万円もする弁当と対座したことは一度もない。というか、あるはずもない。おそらく読者の大半も同様だと思う。

この店の最高峰、極味弁当はどんな味なのか。読者を代表して賞味させていただいた。

きれいにサシが入ったサーロインとシャトーブリアンを、丁寧にミディアム・レアに焼き上げる。

完成後、さっそく舌で鑑賞させてもらった。

まずは、サーロインステーキをひと口。噛まなくても飲み込めるぐらい、脂が多く、なめらかな食感。

続いて、シャトーブリアンをひと口。サーロイン・ステーキよりも、とろけるような歯ごたえ。しかも脂が甘い。

両ステーキには、オリジナリティソースがかかっている。パンチが効いた甘辛のソースが甘味を含むステーキによくマッチ。

ステーキを食べつつ、デミグラスソースをつけたハンバーグを口に入れる。盆と正月がいっぺんに来たようで、胃袋は、さぞや驚いているだろう。

牛肉の、しかも黒毛和牛の最高峰、サーロインとシャトーブリアンのステーキを同時に食べる機会はまずない。両雄をステーキハウスで注文しようものなら、破産するかも。そういう意味で、1万円はけっして高くない。自分は頼めないけど。

極味弁当は、自分や家族へのご褒美などの需要があるそうだ。あるいは、会社の社長が、社員へのプレゼントとして極味弁当などの弁当をオーダーするケースもあるという。

近年、法人の注文が多くなってきた。大丸東京店だけではさばけないこともあり、恵比寿店を新設したという事情もある。2日前までに予約すれば、大口のオーダーも可能だ。

法人ではないが、某人気グループや、誰もが知っているアスリートが、ミート矢澤の弁当を差し入れに注文するケースもあるそうだ。1個から500個まで注文できる。

もちろん焼き立て、作り立て。箱を開けた瞬間、作り手の思いも伝わる。

という意味で、ミート矢澤の弁当は、〈感動の宝箱〉と言っても過言ではない。それが、「ミート矢澤 テイクアウト 恵比寿」の魅力だ。

「デミグラスハンバーグ弁当」を自宅に持ち帰り、4時間後に食べてみた。肉汁が詰まったハンバーグは、やっぱり旨い。米は鳥取県産ひとめぼれ。冷めても美味しい米を厳選しているだけに、ハンバーグと米との相性もばっちり。

【ミート矢澤 テイクアウト 恵比寿】
住所/東京都渋谷区恵比寿西2-11-9 東光ホワイトビル1F
電03-3464-2900
営業10時〜21時(LO20時50分)
年中無休
※価格はすべて税込 ※賞味期限は作ってから5時間以内

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。