食べることで獲得する「免疫寛容」

そうは言っても、我が子がアレルギーを発症するかもしれないと思ったら、初めての食物を食べさせるたびに心配になるのが親心というもの。

家族がアレルギー持ちの場合、その乳幼児も発症するリスクが高くなるのは事実です。

「もしもご家族にアレルギーの方がいる場合、大切なのは“自己判断をしない”ということ。食事の制限は医師の指導のもとで行っていただきたいので、気になる場合は必ずかかりつけの先生やアレルギー専門医に相談してください」と山村さん。

ということは例え卵であっても、離乳食が順調に進んでいて、医師から摂取を控えるように指導されていなければ、支援ガイドの目安通り、7~8カ月からスタートして大丈夫なんです!

ちなみに各月齢の摂取目安量を守ったうえで、さらに卵アレルギーの発症リスクを抑えるポイントは2つ。

1. 卵黄から始める
2. 固ゆでなど、十分に加熱する

卵黄と卵白を比べると卵白の方がアレルギーを起こしやすく、またしっかり加熱することで、アレルゲン性は低下するので要チェックです。

何より、人間のカラダにはさまざまな食物を食べられるように「免疫寛容」という仕組みが備えられているそう。そしてこれは、“食べること“によって獲得できるといいます。

そして食べられる食材が増えるということは、それだけメニューの幅も広がるということ。

かくいう私も、魔の離乳食後期(スプーン略奪によりぶん投げ飛距離が格段とアップ、さらに精度を増した美食センサー、芸術家バリのコネコネ技習得など…)を戦っている最中です(笑)。

我が子が自分と同じモノを食べて「おいしいねぇ~」と笑い合える瞬間が、とにかく早く来ないモノかと、もう、それだけを楽しみにしているのですが(笑)、

初めての食物を食べさせるたびに、我が子のアレルギー発症のリスクが下がっていくと思ったら、必要以上に怖がらなくていいんだと、心強く感じられませんか?

ひとつひとつ「免疫寛容」の幅を広げて、我が子の食生活を楽しく、より豊かにしていってあげたいものですね。

(*1)「アレルギーに関する意識調査」
[調査概要] 調査期間:2016年1月9日~1月12日/調査方法:インターネットリサーチ/調査対象:0~3 歳の子どもを持つ男女各200 人ずつ 計 400 人(25~30歳、31~35歳、36歳~40歳、41~45歳、各グループ50人)

■ 山村淳一さん
農学博士。母乳の持つ、赤ちゃんを守る力“免疫機能”に一番にこだわった母乳研究を続ける「ビーンスターク・スノー」で、商品開発を担当。

【参考文献】

『Q&Aで学ぶ お母さんと赤ちゃんの栄養』周産期医学2012 Vol.42増刊号
『食物アレルギー診療ガイドライン2014』日本小児アレルギー学会
『授乳・離乳の支援ガイド』厚生労働省2008
『授乳・離乳の支援ガイド 実践の手引き』(財)母子衛生研究会編集 母子保健事業団2008
『日本人の食事摂取基準2015年版』厚生労働省2014