公益社団法人日本陸上競技連盟は2月27日、市民マラソンに関する「ジャパンレースディレクターズミーティング(2016JRDM)」を開催しました。会場には全国各地からマラソン大会の運営関係者が集結。日本陸上競技連盟(以後、日本陸連)からのプレゼンテーション、およびパネルディスカッションを通じて、活発な議論と意見交換が行われました。

陸上競技連盟の目指す未来と課題

日本陸連は現在がスポーツを大きく変える好機だという考えのもと、「スポーツ団体も、スポーツ立国を目指す上で力にならなければならない」として、国民がスポーツと共に生きていく社会を目指すとしました。

これまで、主にトップ競技者の育成に注力してきた日本陸連。しかしこれから担うのは、健康あるいは楽しみのためのスポーツ、つまりアクティブライフの実現だと言います。

スポーツを通じた人々の笑顔を、どのようにして作っていくのか。

その具体的活動として、まずはFTEMモデルに基づいた小学生陸上、クロスカントリー、駅伝を通じた競技としての関わり。そして競技陸上中心ではなく、人々の一生に貢献していくための“ウェルネス陸上”の提案を挙げました。

中でもランニングを生涯スポーツとして位置づけ、それを通じて人々を元気にしていきたいとのこと。健康寿命やワークライフバランスという観点からも、ランニングの可能性を強く感じているようです。

市民ランナーからエリートまで、すべての人々にとってランニングを身近な運動にしたい。そのうえで、「見る」「支える」側として、走らなくても関与できるような環境を作ることにより、ランニングを“文化”にすることが目指す形のようです。しかし現状の問題点として以下の点を挙げ、これらが解決しなければ、ランニングはブームに終わるという懸念も示しています。

  • エントリーしたものの大会が開催されない事態が起きている
  • 距離の不足および過剰が見られる大会
  • 十分な給水をはじめとした安全面の課題
  • 自治体の負担(赤字となる大会)

    またランナー側についても、ランニングを文化とするための条件として、次のような状況の改善が必要だとしています。
  • トレーニングの不足
  • トレーニングの過剰
  • モラルの欠如(通行人の妨げ、大会時のゴミ 等)
  • ランニングの継続(70%が1回の大会出場で止めてしまっている)