余る時間を全て子どもに費やすという事実
昔は掃除、洗濯、炊事など「家事」と呼ばれる仕事は、多くの女性が大量の時間を使ってこなしていた重労働でした。
しかし最近では、家電製品などの発達により、家事にかける時間が昔とは比べものにならないほど時間短縮されるようになりましたが、時間短縮され、余る時間を今のお母さんたちはどこに費やすのか。
それは、「子どもの生活すべて」です。
子どもを取り巻く衣食住すべてにつき、手回しよく面倒がみられ、危険がないよう配慮する。
その結果、子どもにとって母がいないとダメな環境を無意識に作り上げ、母も自身の存在意義をそこで保とうとします。
生活に不自由がなく便利が当たり前、そして失敗がないよう先回りした配慮環境が、子どもの自立を阻害しているということです。
情報過多の子育て情報にも問題が
近年の育児本や雑誌、インターネットなどの情報を見ていると、「叱らない子育て」や「褒めて伸ばす子育て」そして「母子密着子育て」が推奨されているように感じます。
確かに母子密着の生活の中で、叱らず褒めて成長する子どももいると思いますが、田中喜美子さんは、母に守られた環境の中、叱らず褒めまくる環境が、逆に我慢ができず、生きる力のない子どもを育ててしまうと言います。
「叱らない子育て」と言えば教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さんが有名ですが、教育評論家があの柔らかい笑顔と口調で「お母さん、お子さんを叱らないでもっと褒めてあげてください」と言えば、勘違いもするでしょう。
その勘違いとは、本来叱らない子育てとは「頭ごなしに怒ったり、人格否定したりせず、叱る前にちゃんと子どもの考えや気持ちを聞き入れ、その上でダメだと思うことは言い聞かせる」ですが、人に迷惑を掛けたり、傷つけたり、危険なことをしても「叱らない」という勘違いです。
ダメなことをやっても叱られない環境の中で生活する子どもは、やりたい放題の我慢知らずが当たり前となり、協調性を持たず育ってしまうため、生きる力のない人間になってしまいます。
子どもの考えや気持ちに耳を傾けず、感情的に叱ってしまうことはいけませんが、やってはいけないことをちゃんと教えることは親の役目です。
子育て教育にとって、それは今も昔も変わりません。
情報過多の現代では、意識的に情報を得ようとしなくても、テレビや雑誌などから無意識のうちに情報が入ってくる環境です。
ですが、その情報を断片的にとらえ勘違いし、行動してしまっているかもしれないことを再認識すると良いですね。
まとめ
全ての家庭において当てはまるとは限りませんが、「母の育ってきた豊かな環境」「家事に時間を要しなくなり、余る時間を全て子どもに向けられるようになったこと」「日本の子育て教育の問題」の3つが、無意識のうちに子どもの自立を阻害していると田中喜美子さんは言います。
母の育ってきた環境や、今の家事環境を変えることはできませんが、今まで無意識だったところを少し意識することで、自立した子どもを育てる環境づくりに気が向けられるのではないでしょうか。
今後の日本において、自立できない人間が大量に育つという悪い連鎖が続くことのないよう、お子さんのため、国のためにも、今回の内容がお役に立てれば幸いです。