まもなく終わる2016年。年が明けるとまず注目したいのが、箱根駅伝ですよね。様々な名シーンが生まれた同大会のなかで、2011年のアレを覚えていますか?
そう、「寺田交差点」です。
物語の主人公は、國學院大の1年生アンカー・寺田夏生さん。これは、2011年大会のシード権争いでの出来事でした。この年のシード権争いは混戦模様。
8位の城西大から13位の山梨学院大までの差は、わずか1分9秒というタイトな差であり、そんな中、寺田さんは11位で襷を受け取りました。他にも、帝京大、日本体育大、青山学院大が、3つの枠のシード権を争っていました。
1年生ながらアンカーをつとめた寺田さん。その粘りが買われての大役にあった走りを見せます。11位から8位まで順位をあげることに成功。その間、帝京大・山梨学院大が脱落して実質4大学でのシード権争いに。
ただ、残された4大学はだんご状態で走ることに。「このまま混戦は避けたい」と監督はロングスパートの指示を出していたと、書籍『箱根駅伝 勝利の名言 監督と選手34人、50の言葉』で明かされています。
監督が大声をあげて、スパートを指示……、するも、一向にスピードをあげない寺田さん。その時の寺田さんの心境はこうです。
監督が何か言っているのはわかっていたんですが、どの学校の監督さんも怒鳴っているので、どれがどれだかわからなかったんです。しかも沿道の声援がすごくて、自分はもう、ゴール前の勝負でいいやと思っていたんです
普段はテレビでしか見ていない箱根駅伝ですが、実際にランナー目線になると、監督の声が聞こえないくらいに、沿道の声援を受けているんですね。また、どこの監督も怒鳴っているとは、なかなか臨場感のあるお話です。
そして、寺田さんは、走っている最中に、自分は何位なのかわからなくなってしまったそう。ですので、残された4大学の中で1番に入ればシード権が獲得できるだろうと割り切ったのです。
「4人の中で先頭になってゴールする」
その狙いが、「寺田交差点」を生むことに。